広島電鉄  350形
 
  実際に通勤している方にとっては苦痛以外の何物でもないのは重々承知の上で言いますが、広電はラッシュ時が(車両運用的に)面白い!が最近の私の持論です。案の定、朝広島港のホームでまったりしていたら3両しかいない350形がやって来ました。
昭和33年のナニワ工機製ということもあって見慣れた3枚窓におでこの前照灯というこの頃路面電車ではよく見かけたスタイルをこの形式でも採用しています。側面に目を向けると広告枠のスリムさが印象的ですが、元々電照式の広告だったそうで、光っている様子を見たかったところです。
現在も変わらず3両での所属です。市内線と宮島線の直通ができる唯一の単行車とのことですが…こちらも見たことがありません。連接車がひっきりなしに走る宮島線で走ったらそれはそれでビックリしますが…そのうち、走るかな?!
(取材・撮影 広島電鉄宇品線他・広島港〜土橋)

 

 

 


車内全景です。前中扉のロングシートで、広島電鉄の単行車としては緑のモケットがやや珍しいかもしれません。同年代の車両をこれまで他の地区の路面電車も含めて多数見てきましたが、割とキレイに整備されているようで、側面の塗装がやや厚み…否、重みを感じますが、くたびれた感じは全くしません。優先席のピクトグラムや吊革の変更、ちょっと前になりますがPASPYの設置も行うなど、意欲的な整備がこのキレイな車内を維持している秘訣かもしれません。ただ、運転面ではこの形式が広島電鉄唯一の独特な部分もあるようで…お疲れ様さまです。


乗務員室周りです。窓が大きいので昼間走る分には特段暗さは感じませんでしたが、照明と中吊り広告の微妙な感覚が夜のちょっと暗そうな車内を想像させます。旧型車ということもあって仕切りは中央のみ、向かって右側は前面展望もなかなか広く楽しむ事ができます。
中吊り広告もあってなかなか見難いですが、乗務員室との仕切りは天井付近では左右に広がっていて、「ナニワ工機」の銘板もこちらで確認することができます。ようやくここで実年齢を実感できそうです。


天井です。冷房化されており、吊革も真ん中の列まで備えて混雑に耐えうる仕様になっています。冷房がつけられるくらい丈夫な車両だっただけに、今日も第一線で活躍できるわけです。両端の吊革の支持棒が可愛いですが、広島電鉄ではこの系列以外ではあまりお目にかかりません。網棚のないすっきりした窓上にも広告が展開されています。


床はリノリウムです。他系列では自社製造は木、他社はリノリウムと区別されていたようですが、この形式は揃ってリノリウムです。ただ、かすかに見える縦の筋は…いや、木のせいですよね?!間違えた、気のせいですよね?!

 
広島電鉄は折戸よりも片開き、あるいは両開き扉が多い印象ですが、この形式も片開き扉がスタンバイしています。いわゆる塗りドアで、ここまでカクカクした窓は路面電車でもなかなか珍しいと思います。ドア周りの付帯設備も要注目で、沓摺や非常時の赤いボタンにも年期を感じます。

入口扉の脇にある車掌席です。未だに残ってはいるものの、事実上プレートと発車スイッチくらいで…と思いきや、簡易ながらドアスイッチと思しきスイッチや、非常開放弁まで備わっています。市内線で単車だと車掌の常務シーンは見ませんが、駅ホームの改札員が間違って飛び乗ってもこれで体裁は整います(^^;;
ただ、700形とは異なり車掌用の背もたれは無いので、混雑する車内でピシーっと立っているのはなかなかシンドイものがあると思います。なぁ、そうだろ(^^;;

 
座席です。座面のバウンド具合とは裏腹に背もたれのペッタリ具合が泣けてきます。ドア〜乗務員室の座席には優先席が備わっています。こちらはしっかり新しいデザインに切り替わっています。モケットはやはりちょっと珍しい緑一色です。
高速での走行が難しい時間だった上に、立てば地獄、座れば…の環境だったので乗り心地が飛び跳ねて…という体験まではできませんでした。ただ、深く沈み込む座席はあまりくたびれた様子はありませんでした。ラッシュの切り札で引き続き投入するのであれば、この座席が何人掛けかをさりげなくわかりやすくすると、中途半端に空いた座席も気持ち良く座れるようになると思います。
 
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