広島電鉄  1150形
 
  広島電鉄の朝を支える1150形。動物の愉しいイラストが描かれた外観でハノーバー号を引き継いだ格好ですが、この塗装は広島電鉄に移籍後、それもしばらくたってから披露されたもので、神戸市電時代は緑のツートンカラーでした。
その神戸市電で昭和30年から31年にかけて8両が製造され、保存車以外の7両が広島電鉄にやってきました。今でこそ懐かしい吊り掛け駆動の音が似合う車体ですが、登場時はPCCカーとして最新技術を惜しみなく投じられました。神戸で保存車として残っている1155号の姿と比較すると…1155号のスマートさについつい惹かれてしまいます(^^;;
ただ、快適さは保存車よりも1156号に軍配か。冷房と大きな方向幕を積んで千田車庫から広島駅へ、己斐へと孤軍奮闘です。
(取材・撮影 広島電鉄宇品線・広島港 他)

 

 

 


車内全景です。前中2ドア、ロングシートの車内です。前面おでこのあたりが少し狭まっていることもあって車内も狭いのでは…と思っていましたが、乗ってみるとそこまで空間の大きさに対する違和感はありません。冷房化、そして3列に並んだ吊革にラッシュ対策も万全といった具合でしょうか、広島電鉄では見慣れたスタイルです。一方、木の床は神戸新聞のネット記事で「往年を偲ばれるアイテム」として紹介されていましたが…そこを紹介した意図は懐かしさを分かりやすく取り上げたからか、はたまた他に偲ばれそうなアイテムがなかったからでしょうか…。

 
乗務員室との仕切りです。側窓の上部が緩やかに傾斜している様子もお楽しみいただけると思いますが、意外とこのなで肩のような装いは広島電鉄では珍しいもので、車内から見るとかえって空間の広がりを感じるものです。
仕切りには縦に3つ広告枠や路線図を並べています。右上には神戸市電から譲渡されたことを示す銘板が設置されていますが、ここよりも車外、入口ドアのそばの方が目立っているように感じます。
仕切りの右側には丸椅子が見えますが、袖仕切りからオープンな作りで、少し混んでいても前面展望が愉しめます。


冷房絡みの凸凹が目立つ天井周りです。その出っ張りを活かして蛍光灯を配置していますが、間隔はまばらです。その両側には吊革が設置されていますが、支持棒のデザインは思ったよりもあっさりです。優先席部分の吊革が黄色くなったのはいつの頃からか…座席が埋まってしまうとその吊革が優先席の目印になります。この見た目の車両にして車内に冷房がついていることに驚きますが、冷房化前の車内がどのようだったか…見てみたかったものです。
折しも取材時は移籍後50年が経過したことを祝福するキャンペーンをやっていました。中吊りも窓の上も…懐かしいエピソードがいっぱいです。


床です。570形同様木の床ですが、こちらには傾斜がみられません。登場時期の違いがこのようなところに出てくるわけですが、点検蓋の黒い鉄板は570形と同じです。

 
ドア周りです。上下2段に分かれた窓のデザインは神戸市電時代から変化がなく、案内表記に目をつぶれば懐かしいアイテムの一つとして取り上げられても良いのでは…と思います。面白いのはドア窓の湾曲に沿って鴨居部分も斜めになっているところで、縦・横だけでは表現できない世界観に思わずうっとりしてしまいます。
ドア自体は塗りドアで、緑がかった灰色は周りと同じ色になります。ステップつきですが、手すりは高い位置から低い位置までくまなくカバー。ざっと2種類あるところにもこの車両が辿った歴史が垣間見られます。


側窓です。いわゆるバス窓で、これも登場時から大差ありません。それこそ神戸市電1100形のように桟に厚みがなければ連続窓風でもっとお洒落に見えていたものですが、1150形の神戸市電時代から変わらず武骨なスタイルが長生きの秘訣…なのかもしれません。ただ、上の窓が開かないことが換気をする上で少し鬱陶しく感じる世の中になってしまうとは思いもしませんでした…。ラッシュの助っ人には連接車に見られるようなスリットによる換気は設置されていません。


座席は2種類。ドアから乗務員室の仕切りにかけて展開する短いロングシートと、ドア〜ドア間の長いロングシートが互い違いに設置されています。前者は左右ともに「優先席」の扱いになります。
よく手入れされている印象で、特に袖仕切りの手すりは一度交換されたのでは?と思うくらいピカピカで、引っかかることない触り心地がうまいでがんす。
バネの効いた跳ね返りが堪能できる座面は奥に向かって若干沈み込むように設置されていますが、一方の背もたれはほぼ垂直…いやはや、こればかりは無理もありません。ロマンスシートがウリだった神戸市電も、1150形はひたすら実用本位だったのでしょう。


ドア〜ドア間の長いロングシートです。この入口ドア付近の気になる点その1…570形でもそうでしたが、入口ドア付近だけ1人掛けの座席が独立して設置されています。ドアコックなどの構成を見ると何かのきっかけで1人分座席を伸ばしたことは考えにくく、何かの機器操作上座面を外しやすくした…と考えるのが自然だと思うのですが、1人掛け席だけ他の席よりも損する不自然な佇まいを見ると、ちょっといたたまれなくなってしまいます…。
また、袖仕切りに何かを設置していた跡を見ることができます。思えば床にも何かを設置した跡がありますが、場所柄PASPYの前のパセオカードのリーダーだと思います。
カードリーダーの支えと袖仕切りの関係が気になるところですが、こういう些細な跡が車両の履歴書をより豊かにしてくれるものです。

時は20××年、PASPYの跡に懐かしみ、広島駅舎に直接乗り入れる1150形の雄姿を見ることはできるのでしょうか…。

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