阪急電鉄京都線 9300系
 
  阪急京都線の特急車としてすっかりお馴染みになりましたが、出た時のインパクトはすごいものがありました。アルナ工機が車両を新造しなくなったため選んだ相手が日立…しかし日立らしくない、あくまでも阪急らしさを貫いた外観。それも屋根周りはかなり凝ったものに仕上がっています。6300系の落ち着いた雰囲気とは違う、華やかな雰囲気を振りまきながら走り始めました。製造は平成13年から7年に渡りました。今回は後年製造された方向幕が「幕を再現しすぎた」LED表示機を採用した車両の車内を中心に、一部初期車も混ぜつつ取り上げます。
運用は特急から河原町〜桂間の入庫を兼ねた普通列車まで意外と多岐に渡ります。祇園で一杯やった後、桂行の列車でこの車両に遭遇した方も多いと思います。
(取材・撮影 阪急京都線・桂〜河原町)

 

 

 


車内全景です。ドア〜ドア間はクロスシート主体なので、白いヘッドレストカバーがアクセントになった車内です。
座席もそうですが、高い天井がとにかく特別な雰囲気を醸し出しています。一方で、座席部分にも吊革を設置した点は3ドア車で京阪間主要駅停車ということも含めてより実用本位な車内になったのではないでしょうか。中吊り広告は6300系時代から設置されていますが、荷棚上に広告枠が無いのはかえってスッキリして良い感じです。
なお、取材は主に平成24年10月に行っています。優先座席導入前のもので、携帯電話オフ車両のステッカーは現在は剥がされています。


乗務員室の後ろは2人掛けのロングシートが設置されています。この構成は6300系と同じです。大きな窓は前面展望に最適で、将来の化粧板焼けに備えてか、側面よりも濃いめの化粧板を用いています。
 
車端部の様子です。左の画像は中間車の梅田方車端部に設置された固定クロスシートで、右の画像は車椅子スペースを兼ねたロングシートになります。車椅子スペースは全ての車両に備わっていて、車椅子スペースがあるからロングシートなのか、混雑対策でロングシートなのか、選択の真相は正直わかりません。ただ、袖仕切りのデザインは明らかに車椅子スペースを意識したものになっています。
下まで伸びた窓が印象的な貫通扉、取っ手に手を添えると自動で開くようになっています。取っ手に秘密があるように感じますが、取っ手のすぐそばにカラクリがあるようです。

 
車椅子スペースです。左の画像は座席展開時のもので、車椅子スペースを必要とするときは座席を収納してください…というアナウンスです。従って座席展開時の状態がデフォルトです。そのせいか、車椅子スペースの際の握り棒は横に一本のみで、吊革も通常のロングシートと同じ長さで設定されています。それでも袖仕切りとは別に衝立を設けて、ドア周りとは明確にスペースを区切っているのは車椅子スペースとして使用する方も気兼ねなく利用できて良い配慮です。


半間接照明の天井です。あたかもカバーがついたかのようなデザインで、6300系の雰囲気をそのまま継承しているような部分でもあります。通勤電車ならやりすぎだと思うこの部分も、この車両なら納得です。
ラインデリアが真ん中で焦げ茶色に塗られてなかなか存在感があります。吊革は中吊り広告の外側ですが、クロスシート部分では座席の頭上にセットされてしまっています。そこを京阪のように通路側に寄せられるようなバンドを設けられればいいのですが…お金かけすぎですか…?


床は灰色を軸に通路部分をタイル調にデザインしたものです。タイル調デザインは阪急ではお馴染みのものですが、灰色ベースは珍しく、なかなかキレイな配色です。


ドア周りです。この部分も濃い木目調の化粧板を用いています。液晶ディスプレイ、もしくはLED表示機があるドアとそれらが無いドアを千鳥配置で展開しています。まずは液晶ディスプレイのドアから見ています。
ドア自体は静かにゆっくり開閉します。ドアチャイムの音色がまた柔らかいもので、なかなか素敵です。ドア窓も大きめに設置されており、画像のとおり補助席から景色を眺めるのも悪くありません。
 
LED表示機のついた鴨居部のドアを右の画像に、何もついていない鴨居部のドア画像を左の画像にそれぞれ貼ってみました。初期に製造された3編成がLED表示機を用いたドアになり、方向幕がLEDで無い車両として判別は可能です。
ドア周りの握り棒はドア枠と一体になったもので、見た目非常にスッキリしています。もう少し普及するかなぁと思っていたのですが、阪急では1000系・1300系で従来の握り棒を独立させたスタイルに戻すなど、あまり普及はしていないようです。

 
液晶ディスプレイは2画面設けて、左の画面では広告を、右の画面では行先や次駅案内などを流しています。LED表示機は1段のみで、下には広告枠が入っています。どちらも文字が小さく、特にLED表示機では情報を追いかけるのがちょっと大変です。
外観のLED方向幕の「幕字体」再現とは裏腹に、液晶ディスプレイはwindowsのフォントをそのまま使うなど、デザインにもう一声かけたくなってしまう点が少々残念です。


側窓はLED表示機を用いた車両のものでご確認ください。自動開閉の窓はカーテンが2席ごとに引けるよう窓枠とは別にカーテンのレールを設けています。荷棚のデザインは初期に製造された編成は画像のとおり擦りガラスを、液晶ディスプレイの車両は細かいスリットが入った形状を採用しています。

 
ロングシートです。先に5人掛けのものを載せてみました。右の画像が初期に製造された編成のもので、背もたれが低めに設定されている点がポイントです。
車椅子スペースの折り畳み座席に合わせて3人・2人で座れるように工夫を施しています。妻面に肘掛を設けなかった点はなぜだ!という叫びはさておき(^^;; 背もたれが高めになってからは座り心地も幾分か良くなったと思います。座面が良く沈み込む分、着座位置がやや低いと思うかもしれません。

 
車椅子スペースの収納座席です。ドア側の肘掛けの奥に座席を展開するときにポチッと押すボタンがあります。
通常仕様の座席も片持ち式ですが、この収納座席も実質片持ち式で、座面の厚みに違いが出るのは仕方が無い部分です。それでも、見た目収納座席と隣の座席との差をあまり感じさせないのはデザインの上手さです。
この画像では写っていませんが、衝立側の肘掛けにもモケットが貼られています。袖仕切りではありません、肘掛けです。収納座席は肘掛を可動式にしている座席も多く見られますが、肘掛けを固定したのも収納座席の機構を考えれば座席自体を長持ちさせる一つのアイデアです。


片持ち式ながら乗務員室後ろのロングシートは8300系でも使われた袖仕切りを用いています。ここだけ9300系らしくない仕様ですが、モケットの色がかろうじて9300系っぽさを維持しています。6300系の時もこの区画は平凡なロングシートでした。こちらも片持ち式のロングシートで、ちょっと座席下ヒーターの設置角度が不足気味で、冬場どこまで暖められるかはちょっと不安です。

 
クロスシートです。ドア〜ドア間は左の画像、車端部は右の画像のとおりで、ドア〜ドア間も4人1組の区画が1つできるようになってしまっています。補助席は車端部の4人1組の区画のみの設置で、すぐに跳ね上がる仕様になってしまいました。
木目調の化粧板が大変美しい背面です。クッションが取り付けられている点は嬉しいです。握り棒はもう少しドア側に張り出すと握りやすかったと思います。
 
横から撮ってみました。車端部の固定クロスシートも、妻面に接した座席も背面を抜かりなく作っていることが伺えます。その部分の清掃はちょっと大変そうです(^^;;
転換クロスシートは座面も若干の傾斜が向きに応じて連動します。ただ、座面は底つき感があるようで、もう少し詰め物を充実させるか、バケット形状を深めに取りたいところです。固定クロスシートも転換クロスシートに合わせて詰め物薄め、遠慮気味なバケット形状で構成されています。柄が入ったモケットですが、生地は阪急名物のアンゴラです。

 
斜めからのショットです。転換クロスシートの脚は一本で、JR九州817系のようなセンスを感じます。製造会社が同じなので部品や機構を融通し合っているかもしれません。それでもJR九州の817系よりも重厚に見えます。
 
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