阪急電鉄  8300系
 
  平成元年に登場した神戸線・宝塚線の8000系に続いて、京都線用に登場したのが8300系です。この8000系シリーズは1990年代の阪急電鉄のイメージリーダー的な存在ですが、前面は何度か軽い変更があり、特に後年製造された車両は前面窓に傾斜角がついてスピーディな印象を与えるようになりました(^^; 私的にはこれくらい切妻でも十分格好良いと思います。
京都線の他にも嵐山線や千里線、大阪市営地下鉄堺筋線にも入線しており、編成も8両の他に2両、6両のバリエーションがあります。今回取材したのは行楽シーズンの6両編成で、先頭には「おぐら」のヘッドマークをつけています。…誰ですか、ズラでいじっているのは(^^;;
(取材・撮影 阪急嵐山線・桂〜嵐山)

 

 

 


車内全景です。3ドアロングシート車で各車両に車椅子スペースを設けています。
9300系ほどではないですが濃いめの木目調の化粧板、そして床の飾らないベージュが良い色合いです。今でこそ濃いめの木目調の化粧板は他の車両でもお馴染みになってきましたが、製造当初はきっとすれ違うたびに「あ、化粧板の濃い新型車両だ!」なんて注目されたことでしょう。尤も車内の見直しは8300系の前に製造された7300系の途中である程度行われており、目新しさはあまり感じられなかったものかと思われます。


乗務員室との仕切りです。仕切りの手前に座席が設けられており、前面展望が楽しめます。
仕切りには広告枠が中央と右側に一つずつ、そして左側には車両に関する形式名などの情報が掲載されています。この情報を記した紙がいかにもパソコンで作りましたといった感じが受け取られる物で、廃用部品として高く売れるようなプレミア感はありません。その一方で、仕切り扉の窓の上のピクトグラムがシンプルで可愛く、正直日常でも使いたくなってしまうような逸品になっています。立ち入り禁止だから大人が大の字で通せんぼ、実は9300系や6300系嵐山線のピクトグラムとはちょっと違うんです。

 
車端部です。左の画像は車椅子スペースが無いタイプで、中間車のみのものになります。右の画像は車椅子スペースつきのもので先頭車もこのタイプです。
妻窓を設けて貫通扉の窓がエイッと長いタイプはこの形式でも健在で、妻面の広告枠も常備。貫通扉を開けると驚きの光景が飛び込んできますが、それはまた後程…。画像は優先座席モケット採用前に取材したもので、順次蘇芳色のモケットが優先座席に投入され、さらにバリエーションが豊富になる予定です。

車椅子スペースです。比較的早い時期の登場だったこともあり、手すりのみのシンプルな作りになっています。袖仕切りが窓枠の下で完結している姿もこの画像で確認できます。これ、昨今流行りの大きな袖仕切りではできないだけに、絶妙なカーブとともに計算された美しさを感じてしまいます(^^;
窓にも車椅子マークを貼っていますが、外から見えるのはこの窓のシールだけになります。なぜか控えめです(^^;


天井周りです。ラインデリア、そしてカバーつきの蛍光灯が続きます。落ち着いた雰囲気ですがコントラストはあまり無い感じで、昨今の阪急の新型車両のような凝ったつくりよりも昔の阪急通勤車の流れを踏襲している印象です。
つり革はドア部分をよけて設置されています。握り棒の少なさも含めてこの時期に製造された関東の大手私鉄の通勤車よりも車内がスッキリ見渡せるのが羨ましく感じましたが、ついうっかりラッシュ時に乗ってしまうと握り棒が欲しい心境になります。


床はベージュの一色。この色、実は阪急では珍しいのではないでしょうか?もっと赤みがかった一色塗や模様つきの床は良く見ますが…今後この色がどこまでキープできるかが楽しみです。


ドア周りです。ドアも他の内装と同じ色の化粧板で合わせています。また、8300系後期車に見られる天井周りの大きな張り出しはこの車両では特になく、美しささえ感じます。
ドア窓の外側の縦長ステッカーは近年貼られたものです。その脇の握り棒はもう少し縦に長い方が使いやすそうです。

 
側窓です。パワーウィンドウと鎧戸が同居したハイテクなのかなんなのかよくわからないコラボです。3連窓のうち中間の窓は固定窓で落ち着いています。鎧戸は確実に日差しを遮ってくれますが重たいことと任意の場所で止まらないのが難点で、9300系からはロールカーテンに移行しました。阪急らしい装備、まさかこの形式で最後になるとは思ってもいませんでした…。


ドア〜ドア間の座席です。背もたれ、座面とも詰め物が厚く、生地の触り心地と沈み込みがうまくかみ合っている印象です。空いていれば居心地はかなり良く、座面の位置がやや低い面もカバーできます。欲を言えばもう少し背もたれが腰にキュッとフィットしてくれるといいかなぁと思いますが、座席のスタイル、魅せ方としてはこの背もたれの張り出しが限界かもしれません。

車端部です。妻面は肘掛などを設ける余裕を魅せていないのが残念ですが、消火器の出っ張りがゼロで、周りと違和感なく収まっている姿勢にはお客さんへの気遣いとして嬉しい物があります。同時期に製造されていたあの私鉄のあの車両に見習って欲しいものがあります。
座席下のヒーターも落ち着いた色で構成しています。床に面した部分が明るめの銀色で目立ちますが、明るい色をあえて使うことでほこりを目立たなくさせる一面もありそうです。
 
車椅子スペースの脇の座席は3人掛け、そして乗務員室背後の座席は2人掛けと幅に関するバリエーションは豊富に取り揃えられています。なお、車端部の優先座席は順次蘇芳色のモケットに切り替わる予定です。
座席幅自体はなかなかタイトですが、袖仕切りが低いので思いの外圧迫感はありません。

その袖仕切りがこちら。化粧板、そしてモケットを貼っている部分は風除けとしての機能までは持ち合わせていません。また、これは阪急の通勤車では良くありますが、表面の加工上冬場に触るとなかなか冷たく、ちょっと眠気に対する刺激が強いかな…と思う事もしばしばあります。それでも表裏ともモケット張りにするところはさすが阪急、見た目で安っぽさが全く出ていません。


そしてこの配慮。貫通路の中を撮影することは基本的には無いのですが、妙に明るいので近づいたら…このような仕様でした(^^; ここの照明を使って車内から貫通扉越しに貫通路を見た時にもう少しドラマチックにできないかなぁ…と思う反面、ここの球切れってきちんと把握できるかどうかが気になる今日この頃です。
 
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