阪急電鉄  7300系[更新車]
 
  1982年から1985年にかけて製造された7300系、2008年に1編成だけリニューアル工事を受けました。今回はその7320Fの車内を取り上げますが、関西の私鉄に疎い私、実はその存在を知ったのは実車のリニューアルよりもだいぶ後、とあるSNSで「パワーウィンドウを備えた7300系がいる!」と教えていただいたのでした…。
それから少し後、知人と堺筋線に乗ったら天下茶屋駅で線内折り返しに励む7320Fに遭遇、知人の車両運の強さにただただ驚いたものです。
この7320Fが更新された後更新工事は少し中断、結果として独特の存在感を放つことになったわけですが…2画面LCDで堺筋線に乗り入れる車両はこの編成だけ…という話、阪急京都線に乗っているとにわか信じられないのは私だけでしょうか…?
(取材・撮影 OsakaMetro堺筋線・天下茶屋 他)

 

 

 


車内全景です。3ドアロングシートはそのままに、7300系の頃よりもだいぶ濃くなった化粧板と天井の蛍光灯カバーの出会いがなかなか初々しく、「いつもの阪急電車」とはちょっと違う味付けはドア周り以外にも感じることができます。
折しも9000系が増備されている頃に更新を受けたこともあり、LCD以外にも座席の仕切りや荷棚あたりに9000系の意匠を感じることができます。ただ、9000系の雰囲気ともまたちょっと違うのは、これまた天井が成せる業ではないかと思うのです。

 
乗務員室との仕切りです。左の画像は京都河原町方先頭車で優先座席の設定があります。右の画像は梅田、天下茶屋方先頭車で通常のモケットです。側面とは異なる、濃い色の化粧板がポイントです。
更新前と比較すると仕切り扉の窓が少し大きくなりました。前面の貫通扉の窓も少し下に伸びたので、それに呼応したのでしょうか。そして、仕切り扉の部分も含めて何かと案内が増えた印象がありますが、一番の違いは「ALNA」だと思うのは私だけでしょうか。

 
車端部です。基本的に各車両の河原町方の車端部には車椅子スペースと優先座席のデュオが、梅田方車端部には通常仕様の5人掛けの座席が展開します。ただ、河原町方先頭車の車端部のみ通常仕様の座席と車椅子スペースのタッグで構成されています。文字でのみ紹介する、ということは…(涙
こちらも貫通扉の窓を拡大しています。9000系だとここが自動扉になりますが…さすがにそこまではしなかった模様です。それでも継ぎ接ぎの無い綺麗な化粧板を見るだけでも心がスッキリするものです。
優先座席の案内はモケット、ステッカーの他に窓のロールカーテンにも。他の私鉄で見られるような吊革の色の変更はありません。


車椅子スペースです。シンプルに手すりを一本通した格好です。座席の蹴込み板から温風が出るような仕掛けが作られており、個別のヒーターは不要なのかもしれません。
また、パワーウィンドウはこの車椅子スペースの側窓にも設けられています。1段下降窓なので窓から手を出すことはあまり無さそうですが、手が届きにくく、寄りかかっても誤って押さないようなところにスイッチを設けたのはグッジョブだと思います。


天井周りです。ラインフローファンと化粧板のコントラストに惹かれます。その艶やかさにはただただ驚くばかり…ですが、その両側に更新前を彷彿とさせるカバーつきの蛍光灯が健在しているのには更に驚きました。
9000系の天井とは全く異なるデザインに仕上がりましたが、なんだか見慣れた雰囲気に落ち着いているのも蛍光灯カバーのおかげだと思います。…一応、蛍光灯カバーも更新されて丸みを帯びていますが、出っ張りと連続した設置になんだか落ち着くのです。
ちなみに直近で更新された車両の天井はLED照明がついており、これまた見た目が異なります…。


床です。ベージュを基本に中央にタイル柄を配置した構成で、点検蓋はそのままです。
9000系とは異なる色合いで、ここはこれまで慣れ親しんだ柄を登板させたようです。

 
ドア周りです。左の画像はLCDを2台設置したドア、右の画像は広告枠を備えたドアで、千鳥配置でスタンバイ。
ドア窓が大きくなって濃い化粧板が貼られたドア、これで当分の間はパッチワークのような化粧板とは無縁…のはずです。ドアコックから抗菌加工まで大小さまざまな案内がありますが、鴨居部の下、ドアの開閉時に赤く点滅するような仕掛けが設置されました。

 
LCD画面と路線図です。左のLCD画面では広告やニュースなどを配信、右の画面では路線案内や行先、次駅などを案内します。9000系同様丸ゴシック体が幅を利かせた表示で、画面が1000系よりも小さいこともあり、ちょっと画面から離れると見難いなぁ…と思うこともしばしば。外観のLEDの行先表示のような視認性のこだわりを、そろそろLCD画面でも展開して欲しいものです。

 
窓周り、そしてパワーウィンドウのスイッチです。ちょうどパワーウィンドウは戸袋部分と側窓の間、ドア〜ドア間に2か所の設置になっており、3連窓のうち真ん中の窓、車端部の端の窓は固定になっています。フリーストップのカーテンの使い勝手も良好で、時節柄このあたりの更新は乗客の方々にも喜ばれるのでは…と思います。


ドア〜ドア間の座席です。8人掛けのロングシートに仕切りを入れて、3人、2人、3人に分割しています。一方、更新前から蹴込み板の存在はそのままで、新たに色を塗り直し、ドアコックの存在も一段とわかりやすくなっています。
相変わらずの触り心地、相変わらずの柔らかさにうっとりします。座面の高さも程良く、背もたれも腰回りの厚みが増したような設えで結構良い線いっていると思います。
 
通常仕様のモケットは他に3種類。車端部の5人掛けと乗務員室後ろの2人掛け、画像はありませんが…編成中1か所だけ車椅子スペース脇の2人掛けもあります。
車端部や乗務員室の仕切りがザックリ、バッサリ(^^;;一面の壁で展開しているのは阪急電車ではお馴染みの仕様ですが、同じ京都線の6300系で仕切り後ろのロングシートに肘掛けを設置していた様子を知る者としては、そろそろそのあたりも…とオーダーしたくなってしまいます。
ただ、ザックリ、バッサリ(^^;;の恩恵はドア周りのスペースの広さに現れています。


優先座席のモケットの変更からもう何年が経過したでしょうか。すっかり定着した感じがします。
蘇芳色1色のモケットは一切模様が入りません。昔の阪神電車のようなモケットといえばなんとなく似ていますが、触り心地は通常仕様のモケットと同じです。
画像は車端部、車椅子スペース向かいの5人掛けで、こちらも2人、3人で区分されています。定着…といえばスタンションポールが無い姿も昔からそのままですが、利用者から「縦方向の手すりがあれば…」という声が上がることはないのでしょうか…?
 
2人掛け、優先座席は車椅子スペースの隣と乗務員室仕切り隣のものを並べてみました。違いは蹴込み板の仕様くらいで、何かと車椅子スペースの隣だけ別仕様…ということが多い袖仕切りも、この形状故に同一のものを用いることができます。実に良く考えられた袖仕切りで、直近の更新車でも引き続き用いられています。

それにしても…リニューアルがすっかり手慣れている感じがしますが…あの空白の数年間はいったいなんだったのでしょうか…。
 
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