阪急電鉄  6300系[嵐山線]
 
  阪急京都線のフラッグシップとして長らく活躍してきた6300系。9300系が特急運用を担うようになってからは「京とれいん」への改造が目立つ話題ですが、嵐山線専用車としての改造も忘れてはいけません。
2009年に中間車の抜き取りにはじまり内装のリニューアルを施した6300系4両編成3本が嵐山線の折り返し運転に従事しています。実際に乗るとおわかり頂けますが、嵐山線の所要時間はたった7分。その7分のためだけに全力で改造を施した阪急の嵐山への想いがたっぷり詰まっています。
ついでにワンマン化も…と想像が膨らむところですが、ワンマン化改造までは行われていません。ワンマン化したくてもできないのは観光需要が流動的だからでしょうか?
(取材・撮影 阪急電鉄嵐山線・桂〜嵐山)

 

 

 


キレイにリフレッシュされた車内全景です。2ドアはそのままに座席配置を大きく変更、ロングシートをドア周りに配して中間に転換クロスシートを2+1列で設けました。ドア〜ドア間でセミクロスシートのような配置は阪急電鉄ではきわめて珍しく、乗客数の変動が激しい嵐山線だから考えられた配置と言えるでしょう。尤も所要時間7分で転換クロスシートまで用意してしまう点は私の考えを大きく越えている感じもしますが…(^^;;

6300系登場時の内装よりも濃いめの味付けですが、これは近年の阪急リニューアル車全般で言えることでもあります。


乗務員室との仕切りです。このl仕切り背後の区画は元々ロングシートでしたが、周りの座席に合わせて座席の入れ替えを行っています。また、仕切り窓はそのままに袖仕切りの壁の色も濃い目の木目調にリフレッシュしています。ドア周りの木目調よりも陽に当たって色が薄くなるケースは考えにくいですが、車内の雰囲気に変化をつける意味では着眼点が鋭いと思います。

 
乗務員室の背後とは異なり、車端部の様子は大きく変わりました。一番の変化が貫通扉の窓が下にグイッと伸びた点ではないでしょうか。また、京都線特急時代にあった補助座席がなくなっています。妻面の腰当てクッションがその名残と言えます。確かにあまり必要ではないですし、メンテナンスが面倒そうですからなくなるのも無理はありません。
車椅子スペースの位置がドアを挟んだ反対側なので、それを含めて撮った画像を左側に載せました。なかなか大きい立席スペースです。嵐山駅の改札位置を考えるとこの大きい立席スぺースを先頭車の嵐山方にも作りたかったところですが、車椅子スペースが中間車しかないこともあり座席配置上厳しいものがあります。

 
車椅子スペースは左の画像です。非常通報機は妻面に備わっています。決して遠い場所ではないのでこれでいいのだ、というところでしょう。握り棒が一本通っていますが、妻面のようなクッションつきの握り棒にすればもう少し立席にも配慮できたような気がします。このあたり、同時期に製造されていた9300系と考え方が若干異なるようです。
元々補助席だった妻面にそのクッションが新たに設置されています。わずか7分ではなかなか恩恵に授かれませんが、足元から温風が出るようになっています。


天井は従来と変わらずカバーつきの蛍光灯がズラッと並んでいます。床のリニューアルに対して天井のリニューアルにはあまり積極的ではないようで、確かに吹き出し口や電気配線まで手が及んでしまうと大変だという背景がありそうです。
ただ、夜の阪急嵐山駅を美しく魅せているのはだいだい色の「あかり」なんですけど、ね…。


床はさりげなくフットラインも形成したアイボリーの柄物。もう他系列ですっかりお馴染みのデザインです。


ドア開閉予告ランプが新たについたドア周りです。心なしかドアの窓も拡大されているようにも見えますが、それは気のせいでしょうか?ガラスの支持方法が変わって、化粧板の色も濃くなってまるで以前とは別物のドアのようにも見えます。
変わらないのはドア周りにある手すりの長さ、広告枠、そして鴨居部の丸みでしょうか。できれば手すりはもう少し長めの方が親子連れの観光客が車窓を眺めるシチュエーションで何かと好都合かと思います。
乗車区間からすれば当然ですが、LED表示機の設置はありません。


窓周りも大きな変化が。荷棚も交換されてよりシャープなものになっていますが、阪急伝統の鎧戸がロールカーテンに変わっています。これ、阪急の車内で鎧戸が重宝されている現状を考えると何かと衝撃的です。
恐らく短時間で折り返しをしないといけないので車掌の作業の軽減、そして乗客の利便性を狙ったものかと思われます。あまり事例がないだけに、今後の普及具合、そして老朽化した際の取替など、興味が尽きない設備になりそうです。


ここからは怒涛の座席三十三間堂、まずは乗務員室背後の2人掛けロングシートです。
交換されてはいるもののバケット化されていない座席は柔らかい座り心地。乗車時間を考慮するともう少し硬く締まった座り心地でも良かったかもしれませんが、モケットの触り心地にマッチした座り心地は初めて阪急の車両に乗った方に阪急なりの寛ぎを提案するような余裕さえ感じます。故に、見た目よりも若干座面位置が低くなりがちです。

 
先頭車の車端部よりのロングシートは左側の画像、中間車の車椅子スペース脇のロングシートは右の画像になります。
中間の袖仕切りは良いとして、クロスシートの脇にも肘掛けが欲しかったところです。阪急9300系でもこのようなロングシートを備えましたが、さりげなく定員着席を促す中間の肘掛けの設置方法がすごく自然で、見た目的にもゆったり座れるような感じさえします。だからこそ、クロスシートの脇の処理が甘いのが余計に気になってしまうのです。


中間車で登場する長いロングシートです。
モケットの色はこのような青緑色で、従来の6300系よりもだいぶシャープに見えます。色が変わって縫い目がつかなくなった分従来の転換クロスシートの触り心地よりもゴワゴワしているような感じに仕上がっています。

 
木を曲げて加工したクロスシートの裏側の様子です。本物志向の阪急だからこそ!といえる部材がここです。仕切りに使うのにあたって曲げ加工が入っていますが、その曲がり具合が作る美しさをぜひヘッドレスト脇のカーブでご覧いただきたいところです。
クロスシートは両端が固定クロスシート、その間に4組転換クロスシートが入っています。嵐山行進行方向左側が1人掛けの転換クロスシートが、右側が2人掛け転換クロスシートがあります。どちらがいいかは気分次第、ただし乗車時間は7分です。

 
端の固定クロスシートです。無理に切り立った背もたれではなく、形状は自然です。座面、背もたれともバケットタイプになっており、しっかりホールドしてくれる座り心地はもう少し乗っていたい感じにもなります(^^;; アンゴラという生地の素材を愉しむのであればロングシートの方がオススメです。
肘掛けも木の素材をそのまま楽しめるようになっています。テーブルが無いのでちょっとした物置に使いたいところですが、微妙な山なりがそれを阻んでいます。

 
固定クロスシートの出来栄えを見てしまうと、どうしてもヘッドレストまで背もたれと同じ角度で寝てしまう転換クロスシートは一寸カクカクな形状に見えてしまいます。ホールド性は変わらない上に肘掛も大型の物になるので1人掛けの転換クロスシートはなかなか一人旅の趣にはいいかな?なんて思います。

この座席の欠点は2つ。一つはヘッドレスト脇の握り棒が座っている方の顔に近い位置にきている点です。これは握り棒を上部に張り出して大型化すると立客も楽につかめるようになります。もう一つは座席と内壁の隙間が開きすぎている点です。大人の握りこぶし1個分が丸々収まる隙間、小さいお子さんが手を挟むような事態になることも予想できます。観光客が多い路線だからこそ、ぜひ窓側に肘掛を設置して容易に隙間に手を入れないようにガードして頂きたいものです。


ブルーリボン賞の輝きをそのままに、新たな魅力はショートストーリーのロケ地にうってつけです。
 
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