阪堺電気軌道  モ601形
 
  ド派手な広告が目を惹くモ601形が始発の準備を始めています。阪堺電気軌道でよく見かけるこの顔、モ701形の次に登場したのがモ601形になります。
現在7両が在籍し、いずれも1996年から98年にかけて増備されました。制御装置やブレーキなどはモ121形から譲り受けていますが、乗っていて少し揺れがあるなぁ…と思うくらいで、見た目は軽快電車そのもの。気が付けばオリジナルの塗装は消滅し、派手な広告が席巻するようになりました。派手と言えば…方向幕のLED化もいつの間にか完了していましたね…。
冷房車ということもあって夏冬問わず全線でオールマイティな活躍ぶりです。欲を言えば最近始まった位置情報サービスで形式までわかると嬉しい…のは私だけ…(^^;;

(取材・撮影 阪堺電気軌道 我孫子道)

 

 

 


車内全景です。遊園値足りてる?と煽られていますが、私には鉄分が足りません(^^;; 2ドアでロングシートです。
モ701形同様路面電車では珍しく東急車輛の製造ですが、よく見る軽快電車の雰囲気をそのまま感じられる車内に仕上がっています。強いて言えば80年代後半に登場したモ701形のデザインを引きずっているせいか、ちょっと90年代後半にしてはやや大人びている印象を受けます。
パパッと車内を見渡すと、ドア上から車内中央に向かって伸びている横方向の握り棒が目立ちます。E235系のような…と結びつけるのは強引です(^^;;

 
運転席周りです。左の画像が天王寺方、右の画像が浜寺駅前方で、前者には東急車両の銘板が右上の方にチラッと見えます(^^; 路面電車の開放的な運転席周りですが、仕切りの右側、座席との間に行き来できるスペースを確保している点は他の阪堺電車でも見られる仕様で、より仕切りを細長くしています。運転時はバーで仕切れるようになっていますが、反対側の運賃箱はこの位置に固定のようで、進行方向後方の運賃箱にはカバーをかけています。
ちょっと面白いのがその運賃箱脇にぶら〜っと下がったカーテンのようなもの。車内の灯りが前面窓に反射するのを防ぐための工夫でしょうか。モ701形登場時の画像では特段見られませんでした。


天井周りです。東急車輛っぽいなぁ…と感心したのが蛍光灯の間に挟まった冷房の吹き出し口の意匠。グリルを吹き出し口も含めて車内の前から後ろまで通す形状は他社の路面電車ではあまり見かけません。撮った画像を見返していて真っ先に思い出したのが伊豆箱根鉄道5000系の天井(^^; というあたりに症状の深刻さを感じずにはいられませんが(^^;; 1980年代後半に製造されたモ701形のデザインをここまで引き継いでいます。
吊革は広告枠を設けたものも見られますが、既存のつり革に別パーツを取り付けている格好です。


床はやはり東急車輛、大人しめのベージュでキリッと締めています。ステップつきのため、ステップ周りでは滑り止めの加工も施されています。

 
ドア周りです。どちらも片開き扉ですが、特に乗車口の扉の幅は1200mm(!)確保しています。路面電車以外の鉄道車両も含めて、この幅であれば両開き扉にしそうですが…京急800形も片開き扉で1200mmだったことを考えれば、東急車輛にしてみればこれくらいなんのその、かもしれません。嬉しいのは両側に手すりがついている点で、2人同時に乗ることを想定しているかのようです。
出口は運賃の支払いがある関係で狭い幅の片開き扉を用いています。運賃箱の位置とステップの位置が絶妙なので、足元にはご注意を。


このモ601形で感動したのが無理のないツーステップです。モ701形の一部車両で採用され、引き続きモ601形にも採用された経緯があるようですが、古くなればなるほど足元のステップの床面積が小さくなりがちな路面電車で、ここまでしっかり足を載せられ、段差を小さくしたステップに出会えるとは…驚きです。尤もこのあと登場するのが超低床車になるので、他社も含めてここまで作り込んだステップは思った以上に見かけません。
なお、こちら側は乗車時のステップになります。#1090をBGMにかけながら華麗にステップを下りるのは幅の狭い出口の方になりますが、そちらもツーステップしっかり確保しています。


ちょっとわかりにくいですが、入口側の戸袋窓は下半分を曇りガラスで加工しています。モ701形も同様の処理をしており、ロールカーテンは曇りガラス関係なく下ろせるのですが…近年この曇りガラスの部分には「入口」「出口」などの表記が入ったそうですが、取材した2016年の時点ではそのような表記もなく、ただただ曇りガラス…。一体この処理には如何なる理由があったのでしょうか…。
側窓は2段窓で、上段、下段とも開けることができます。

 
座席です。ドア〜ドア間とドア〜運転席の2種類です。優先座席はステッカーでの区分のみで、モケットは清々しい茶色一色です。ちょっと隅を見るとくたびれている部分がチラッと見えていましたが、その後は如何お過ごしでしょうか。短い方は7人掛け、長い方は12人掛けといったところでしょうか。長い方はスタンションポールを入れてあげたいところですが、それ以前にその人数で座るとさすがに窮屈そうです…。シンプルな袖仕切りに奥行き短め、程良く沈み込む座面はモケットで見た時の印象よりもヘタっている感じはありませんでした。蹴込み板の仕様はモ701形の登場時とは若干異なるようです。

それにしても…乗車扉周りの手すりのデザインは何度見ても素敵です。無駄がありません。
 
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