箱根登山鉄道  2000系[ロングシート車]
 
  1989年に登場した2000系。1000形よりもさらに洗練されたスタイルになりました。3両編成はセミクロスシートとなり、内外ともに箱根登山電車のイメージリーダー的なポジションを担っていますが、2両編成は登場時からロングシートのまま活躍しています。一時期はロングシート車も中間車を含んだ3両編成だったのですが、その後中間車は1000形へ編入されてしまい、再び2両編成になっています。行楽シーズンに2両編成と聞くと敬遠したくなってしまいますが、そこは収容力の違いでカバーしようという作戦なのでしょう。
オフシーズンの取材だったのですが、夕方から夜間にかけては空いていたということもあってロングシートにゴロンと寝る方も度々見られました。2両編成は2両編成なりの根付き方をしているようです。
箱根登山鉄道の箱根湯本〜強羅で活躍しています。
(取材・撮影 箱根登山鉄道・強羅)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。全長15m弱の車内に2ドアロングシートの構成。車体断面が小さいため、窓が縦長で大きく見えます。もうその出で立ちだけで観光鉄道の雰囲気はバッチリでています。
カラーリングは外観同様暖色系で攻めています。また、白系の化粧板とツヤのある床が古さを感じさせません。素材もさることながら手入れが行き届いているのでしょう。

…ところで、この画像を見て何か違和感を覚えるのは自分だけでしょうか(^^;;


乗務員室との仕切りです。センターに乗務員室の扉を設け、両脇には大きな仕切り窓。中央に運転台のある箱根登山では両脇の窓からの展望も座って楽しむ事が出来ます。乗務員室への扉は主に車掌さんが車内を巡回する際に通るもので、スイッチバックの際には外への扉を通って行き来します。雨の日は大変そうです。


2両のうち1両にはドア〜ドア間に車椅子スペースがついています。進行方向が3回変わるため「強羅方」と言いにくい部分ではありますが(^^;強羅発車時点で一番後ろのドアになります。
シートヒーターをそのまま活用しているため、車椅子スペースにしてはかなり張り出しがあります。車端部にゴツい機械が置いてあるので、この張り出しはあまり気になりません。
握り棒が窓から離れて設定されているため、隙間風的な寒さも幾分和らぐのではないでしょうか。


車端部です。ロングシートの先は機器スペース。そして通り抜けが禁じられた貫通扉へと続きます。2両とも同じスタイルで、このあたりの無骨さが登山鉄道らしくて素敵です。
繁忙期はこのスペースまで立客が入ります。勿論景色は見えないので「押し込まれているだけ」の登山電車になるのは仕方がないとはいえ残念です。せめて、もう少し握り棒が多ければ良いなぁと思うのですが…。

その機器スペースです。ダクトが天井に直結している点からも伺えるとおり、冷房装置になっています。背丈からもトイレと間違える事は無いと思います(^^;;
そしてすごく地味なところに非常通報機が設けてあります。絶対無いとは思いますが連結面に万が一の事態が発生したら実況できそうなポジションです。


天井です。改めて…何か違和感を覚えませんか?
冷房装置のおかげで快適な夏の箱根が過ごせるわけですが、その吹き出し口は目立たないように配慮されています。蛍光灯もカバーつきのものを使用し、無骨な印象を排除しています。

で、気になるところは…吊革の向き。小田急の通勤車などは線路と平行に立てるようにセッティングされていますが、なんということでしょう、垂直に立てるようにセッティングされているではありませんか(^^;; 同じ2000系でもクロスシート車は線路と平行に立てるようなセッティングをしているだけに、せっかくの大きな立床面積、収容力の向上を狙ったのでしょうか?

それにしても…見慣れないなぁ(^^;;;


床です。非常にツヤのあるベージュの床です。このツヤもなかなか見られる物ではありません。


ドアは片開き扉です。静かにサッと動くドア、化粧板を鴨居部も含めて貼っています。
ドアの前には蛍光オレンジのテープを貼って段差をアピールしていますが、恐らく最近貼られたものかと思われます。警告を表すのであればもう少し太い方が目立つと思います。
1000形のようなLED表示器は設置されていません。観光客の多い時間帯は車掌さんの細かいアナウンスが文字媒体以上の情報量で箱根路を案内してくれる…はずです。


側窓です。1段下降窓はロールカーテンもしっかり備わっています。
ここでもやっぱり…吊革に違和感があります(^^;;

 
座席はドア〜ドア間の座席からご覧頂きます。右の画像は車椅子スペース部分の座席で大体9人掛けといったところでしょうか。左の画像はドア〜ドア間の約12人掛けです。
スタンディングポールがありますがこれは後年設置された物かと思われます。長い座席はスタンディングポールの下にちょっとした張り出しがありますが、一体なんなのでしょう。
また、車椅子スペース隣の袖仕切りは横棒が一本撤去されています。


乗務員室背後の座席になります。背もたれ短めのロングシートは着席区分などは特になく、小田急1000形バケットシートと同じ蘇芳色をベースにしたモケットを採用している割には見た目は全く異なるものになっています。小田急グループはグループ間で同じモケットを採用する例が時々見られますが、江ノ電のケースも含めて個々の座席をコーディネートするかの如く上手く使いこなしている印象があります。
座り心地は柔らかめで、急勾配の続く箱根登山線ではもう少し握る所を増やしたり、座席のホールド力を高くすると良いかなぁと思います。


優先席です。こちらも小田急1000形バケットタイプと色合いを同じ物にしています。あれ、箱根湯本〜新松田折り返し運用のために色を塗り替えたのも1000形……箱根登山だけに何やら赤い線が見えてきそうですが…(^^;;;

このスペースは一応3人掛けとして設けられていますが、見た目ちょっと狭そうですね。


最後に乗務員室の仕切り上にあった「サンモリッツ号」の銘板です。
 
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