函館市交通局  30形[箱館ハイカラ号]
 
  函館の観光パンフレットには間違いなく欠かせないレトロな車両、現在も本数自体は少ないながらも観光シーズンを中心に定期列車の合間を縫って走っています。
1910年に登場し、1918年に函館にやってきます。1937年にササラ電車に改造された後はもっぱら事業用としての活躍でしたが、1993年に再度旅客車に改造された経緯があります。
先述のとおり電停に貼られた時刻表を意識しないとなかなか乗れないだけでなく、雨の日も運休ということで遠足並の天気運が試されます。一日乗車券の提示で普通に乗れますが、乗車券を車内で購入した場合、ハイカラ号しか手に入らない切符が渡される点も要チェックです。
(取材・撮影 函館市電・谷地頭〜湯の川)

 

 

 

 
車内に入る前に…この車両はデッキにはドアがなく、車掌さんや運転士さんが詰めている乗務員スペースがデッキも兼ねています。したがって、この車両に乗る時には必然的にこのオープンスペースを通ることになります。車内との外気分断はその後の仕切り扉になりますが、こちらも手動かつ木の「ガラガラガラ…」と開け閉めの際に音が響くドアになります。
このような狭いスペースなので、車掌さんが後部に陣取っており、切符のやりとりも車掌さんが車内にやって来て手を介して行います。ネーミングセンスがイカしている「イカスカード」が使えないのもこのためで、雨の日に運転しない理由の一つにも挙げられることかと思います。

木の質感のみならず、窓の上辺のカーブがお洒落です。

 
車内全景です。非常に小さな車内です。定期列車ではなく、合間を縫って走らせているのもわかります。後ろの扉から乗って、運転士さんのいる前の扉から降りるルールになっています。
スピーカーが邪魔ですが、ダブルルーフの天井やつり革なども細かく再現。キレイに保たれた車内の中で床が特に年季を感じさせますが、そのような色合いを施しているだけで、歪みや凸凹によるつまづきはまず無いでしょう。
「函館にようこそ」など記念撮影用と思しきプレートが左にある方が湯の川方、右の画像が谷地頭方になります。どちらもドアの手前に立席スペースを設けています。


天井です。床に比べるとちょっと木質が軽い感じがしますが、復元なので雰囲気を愉しみたいところです。電球色のあかりは細かい模様が描かれています。夜走ることが無いので飴色のあかりで愉しむことができないのがちょっと残念です。

このような天井なので、冷房や扇風機などは当然ありません(^^;;


床です。木目調がキレイです。
昭和30年代の路面電車を見ているともう少し1枚1枚の幅が広かった気がしますが、それよりもはるか前の姿を復元しているわけですから、比較するのは邪道かと思います。


側窓です。小さな窓ですが、こちらも上部に緩やかなカーブが施されており、周りの雰囲気と程よくマッチしています。

 
座席です。ロングシートですが、全体が収まらなかったため、2枚にわけてご紹介します。
いずれも片側8人座ればいっぱいいっぱいというところでしょう。座席下のヒーターが生々しいですが、ここばかりは復元が難しいところでしょう。
高貴な香りさえ漂う蘇芳色のモケットですが、座面の奥行きの短さと背もたれの高さが不協和音を奏でています。短距離向けなセッティングですが、乗り心地は足回りがどっしりしているせいでしょうか、路面電車にありがちな飛び跳ねるような感覚はありません。


立席…というよりも荷物置き場といった様相でしょう。車体の裾絞りがよくわかり部分です。外から見ると美しいカーブなのですが、車内で見るとちょっとつまらない部分です。

そして凝った造形の袖仕切り。やがてこの先も使い続けることによって、良い色合いになっていくことでしょう。


さて、空いていたらあまり意識しませんが、乗車時には吊革にもご注目いただきたいところです。
いつもの吊革とは明らかに違う支持方法、そして取っ手になっています。こちらの方が手で持った時の感触がいいものの、取っ手に厚みがないので長い時間はちょっと握りたくないなぁという印象です。

吊革がぶら下がっている棒を支える金具もお洒落です。まさに機能美として称えるべきでしょう。
今の通勤電車、今の路面電車で完全に忘れ去られている美しさが、ここにもあります。


さて、この吊革、乗務員室との壁の方は紐になっています。
棒の中に紐が入っている格好で、なんとも上手い空間活用です。

さて、その紐をたどると乗務員室に到達します。なにやら引っ張るときに持つツマミがぶら下がっているようです。
それをエイッと引くと……


どうなるかはわかりませんが、良い子でなくても混雑時に紐をつかむのはやめましょう(^^;;;。



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