江ノ島電鉄  300形
 
  どんなに豪華な車両が生まれようと、どんなに斬新な車両が生まれようと、この古豪は未だにその路線のイメージリーダーとして君臨し続けています。江ノ電300形の中から、最後の一編成でもあり、今もなお現役で活躍を続ける305Fという編成の車内を取り上げようと思います。
生まれは昭和35年。下回りは他の会社のものを購入した上で車体のみを製造という形を取りましたが、その後連接台車化、床下機器の総取り替え、冷房化改造、ブレーキ装置の交換などなど絶え間なく変化を続けています。とはいえ、車体の雰囲気、そして江ノ電の味わい深いツートンの塗装はそのまま維持しており、そこがイメージリーダーを保つ秘訣にもなっています。
1980年代以降導入された大形の連接車と時につながりながら、現在も通勤輸送から観光輸送まで担っています。
(取材・撮影 江ノ島電鉄線・鎌倉〜藤沢)

 

 

 


車内全景からご覧頂くことにします。冷房改造を行っていることからさほど古い印象は受けませんが、視線の先にあるバス窓、そして一歩足を踏み入れて感じる木の床がこの車両のキャリアを物語っています。2ドアオールロングシートで、現在は他の江ノ電の車両よりも車体長が短くなっています。
観光鉄道に変化を遂げる上でポイントになったクロスシートは一切無く、音も釣り掛け駆動ではないのでそのあたりを楽しみに来た方には物足りないかもしれません。バス窓から景色を眺めたい方など、ちょっと懐かしい雰囲気を車内から楽しみたい!という方は十分楽しめると思います。


車端部もオールロングシートのため、1種類のみのご紹介となります。他の江ノ電の車両と同じで連接台車が連結部にあるため、貫通扉が無い幅広スタイルの貫通路になります。その両脇の妻窓が他の車両よりも大きく取られているのはロングシートだからこそできる技です。


乗務員室との仕切りです。乗務員室への扉は測扉とは明らかに違う素材でできており、ノスタルジーな雰囲気を演出しています。そのちょっと上には「クリーン鎌倉」という文字とマツケンこと弁慶の絵が描かれたステッカーが貼られています。
この部分に座席があることが多い江ノ電の車両ですが、300形は立席スペースとなっています。座席を設けるほどのスペースがとれなかったこともあるのかもしれませんが、繁忙期にはここが貴重なスペースになるとは、果たしてこの車両が登場した頃は想像できたのでしょうか。


天井です。ところどころラインデリアがあるスタイル、そして両脇の三角形の吊革はもはや昭和の感覚ではありません。登場時は冷房は無かったようですが、その後設置されたことにより、このようなちぐはぐな車内になりました。冷房つきは勿論嬉しいのですが、もう少し車内の視覚バランスを考慮して頂けなかったのかなぁ・・・と今更ですがついボロッと口にしてしまいそうです。
吊革には小田急百貨店の広告が入っています。地方で見かける「東横のれん街」のような味のある広告が入る事を密かに期待しています(^^;

 
そしていつもと視線の違う床です。この300形最大のポイントにもなります。味わい深い乾いた雰囲気も魅力的ですが、実際に歩いて頂いた時の足で感じる木の雰囲気、これが関東で味わえるのが素直に嬉しいです。ご乗車の際にはぜひ「床」に着目してみてください!
そして右の画像は連接台車部分の床です。こちらは木ではないのですが、これはこれで木の乾いた感覚にマッチしていると思います。白く塗られている分遠くからも目立ちますが、ここは通過スポット、ずっとずっと立ち止まるのは厳禁です。


測ドアです。無塗装の銀色になっている片開きの扉で、豪快に開くような素振りは見られませんでした。鴨居部も無塗装で整えられており、ドア窓も他の部分とあまり変わらない大きさであることから、東京西部に住む自分としましては井の頭線の3000系を彷彿させるものがあります。3000系が駆け出しだった頃の一種のハヤリだったのかもしれません。

戸袋窓との間には鏡が設けられています。実はこれも江ノ電の車両ではなかなか見かけないアイテムになっています。その気になれば海を見ながら自分の顔もチェックできてしまうわけで、カップルにはちょっぴり嬉しい設備・・・かな?

私の顔はフレームアウト、これ、定番です・・・。


座席は車端部と画像のドア〜ドア間の2種類があります。後者をご覧頂いているわけですが、くたびれている雰囲気は全くなく、空いていれば緑の単純なモケットとともに座り心地も楽しめます。奥行きがあまり無いのは江ノ電という路線の性格上仕方が無いことかもしれません。
ちょっと座席の下のヒーターがカクカクしすぎていて、かつキレイな無塗装に仕上がっているのが残念ですが、それを残念がるのは恐らく自分くらいしかいません(^^;;;


車端部の座席です。この部分にこれだけ長いロングシートが設けられることは江ノ電の車両ではすっかり珍しくなってしまいました。ここもいかにも!といった具合の緑色のモケットが活躍しています。
妻面の座席周りはちょっと余裕がないですが、車端部でも触れた通り妻窓がにょきっと長めに取られているのは大きなポイントです。車内側も、そして車外側も含めて連接台車を用いた連結部分を終始見学できる空間、なかなか無いと思いますよ。


この車端部の座席ですが、全4区画中2区画で優先席が設けられています。ただ、判別は他の江ノ電の車両にも見られるステッカーのみ。モケットは他の座席と同じ物が使われています。

個人的には窓が開いてステッカーの位置がずれてしまう下の窓よりも上の窓の方に貼って欲しかったですが、バス窓を見て育った方としてはどちらに貼るのが主流だったのでしょうか・・・?気になるところです。


袖仕切りにズームイン。
握り棒を兼ねた作りになっていない事もポイントですが、床とダイレクトにつながっている点も見逃せません。




さあ、江ノ島が見えてきました。
バス窓越しに見る早朝の海は生憎の曇り空でしたが、良い朝を過ごすことが出来ました。


(最後の写真のみ昔のカラー写真っぽく色補正を行いました)
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