江ノ島電鉄  2000形リニューアル車
 
  1990年から3編成が製造された2000形。グッドデザイン賞に選定されるなどスマートな外観がお気に入りですが、2016年から18年にかけて更新工事を受け、装いも一新しました。特に塗装は1000形に合わせたかのような緑とアイボリーのツートンに金の帯が引き締めるスタイルに、窓周りの違和感が拭えない…という方もおられるのでは、と思います。LED表示機の季節感溢れるデザインは見ていて愉しいものがありますが、大きな1枚窓が少し小さく見えてしまうのは…と、早くも気になるところが出てくるものです。それでも、今なお雰囲気が大きく変わらなかったのは幸いと言うべきでしょうか。
それにしてもこの2000形、最近見る外観画像はどれも混雑が激しいように見えるのですが…
今も他形式との併結しながらフル回転で藤沢と鎌倉の間を結んでいます。
(取材・撮影 江ノ島電鉄線・江ノ島〜鎌倉)

 

 

 


車内全景です。2ドアロングシート…そうです、車端部のクロスシートがロングシートに置き換わりました。さらにドア〜ドア間の9人掛けロングシートを6人掛けに短縮の上、フリースペースを左右に設けています。窓越しに見える混雑の正体はこの構成で、座席がなければJR電車を模した駄菓子の如く立客がギッシリ見えるわけで…(^^;;
乗務員室の後ろに固定クロスシートが残り、いわゆる「被りつき」ができるようにしてあるのは嬉しいものですが、この顔を見ると座席争奪戦の様相を呈するようになってしまったのは…江ノ電のキャパに真っ向から向き合った結果だとわかっていても、少し悲しくなってしまいます。
せめて、南海の「めでたいでんしゃ」のドア窓のような、立客の方にも愉しめるような粋な装飾があるとええなぁと思った次第です。

 
少しシャッターを押す位置が異なってしまいましたが…車端部です。どちらの車端部も4人掛けロングシートが備わっており、藤沢方車両の車端部は優先席に指定されています。
不自然な高さの妻窓は往年のクロスシートを思い出すツールの一つで、深緑のシートにゆっくり腰を沈めるシーンを回想するのも悪くないですが、この2003編成に限って言えば、クロスシートよりもロングシートの方が座席定員が増えるという、鳩も目を丸くするであろうオチが待っています…(^^;;
妻面と座席の間にはちょっとしたデッドスペースがありますが、ただただ中途半端な高さの壁と化しています。

 
乗務員室との仕切りです。左の画像は藤沢方、右の画像は鎌倉方で、他編成と共通の車椅子スペースが備わっています。そして、ドアと戸袋窓の間の鏡も健在です。
乗務員室の機器の影響か、若干窓にフィルムを貼って見える範囲を狭めています。それでもこの大きさの仕切り窓は開放感抜群で、立っていても前面展望が愉しめるのはgoodです。
座席はモケットこそ変更されたものの、2人掛けは製造当初から片持ち式のような出で立ちで、点検蓋を避けている様がなんとも可愛いものです。

 
車椅子スペースです。左の画像は定番の鎌倉方先頭、右の画像は今回の更新で増設された区画になります。外周の色が落ちたピクトグラムのシールと捻れが激しい手すりのゴムがこの区画の混雑の激しさを物語っています(^^;;
違いは床と手すりの本数、そして避難用はしごと思われる箱の有無くらいでしょうか。特徴的な台形の窓もそのまま残っています。
それにしても…車椅子のピクトグラムを数えていくと…2両で5か所…車体幅の関係もあるので5か所フル活用ということは無いとは思いますが、初めて見て、数えた時の驚きたるや…(^^;


天井です。ラインフローファンが幅を利かせ、左右に冷房の吹き出し口、そしてLED照明を配置しています。取材の時は中吊り広告が見られませんでしたが、他の編成ではガッツリ中吊り広告が展開されていました(^^;
他編成でも見られたのがドア〜ドア部分や車端部の吊革の間引きで、新型コロナウイルス感染症の対策として1つ飛ばしにしているのでしょうか。ドア周りなどいつもの間隔を保持している区画もあったので、なんだか不思議な感じがします…。


床は相変わらずシンプルに。ベージュ一色です。以前のベージュよりも若干明るめの装いです。かつてはクロスシートもあったのでなかなか見難かった連結部分の円もこのとおりクッキリ、シンプルな形状です。


片開きドアです。全てのドアに液晶ディスプレイがつき、滑り止めのシート、ドアの装飾も増えました。ただ、ドア自体はこれまでのものとの違いはみられません。無塗装のステンレスドアです。
ドアと座席の間の空間があまりなく、ドア付近に乗客が立つと乗り降りに差支えそうなシチュエーションが想像できます。車端部はクロスシートだったのでさらに奥に詰める余裕がなく、やりすぎかどうかは別として、立席スペースを増やしたい気持ちも頷けます…。


鴨居部の液晶ディスプレイです。左側の画面では広告を流していますが、これが地元色がかなり強い広告が流れていて見ていてかなり愉しいもの。媒体が進化しても、旅心をくすぐるのはこの手の画であり、文字であります。
そして右側は次駅、行先案内を中心に幅広く旅客案内に徹します。画像は腰越駅の案内で、鎌倉行きの「前1両」が開かない旨4か国語で説明中の図です。かつてのドア上の地図式表示機のようなイラストが添えられるような画面が恋しくなってしまいます。


大きい窓が3連、ドア〜ドア間の側窓です。手前1枚は戸袋窓になります。
側窓のカクカク具合は一緒ですが、その上の荷棚がバータイプのものに変わりました。以前のデザインもなかなかお洒落だったのですが、近年のスーツケース需要がちょっと心配だったので…これで良かったのでしょう。もちろん、車椅子スペース部分の荷棚は撤去されています。

 
ドア〜ドア間のロングシートは6人掛けになりました。画像は増設された車椅子スペース側から撮影したものですが、この袖仕切りの形状がいただけないです。肘掛けのように見せて、実際に肘を置くと出っ張りの部分に干渉してしまいます…。他と同じ素材に見せる工夫は買いますが、いっそ立客が寄りかかれる大型の袖仕切りを投じることはできなかったのでしょうか…。
また、定員着席にこだわるのであれば3人、3人でスタンションポールを入れるのも一考だと思います。

 
車端部のロングシートです。5人掛けで、スタンションポールが入っている方は優先席になっています。モケットはどの席も同じです。
これまでと同じスプリングの効いた座席を用いています。程良い沈み込みがgoodで、バケット全盛の首都圏の通勤電車に乗り慣れている方にとってはちょっと珍しい体験になるかもしれません。
恐らく、元々あった2人掛けのロングシートと車椅子スペースの増設で余った3人掛けのロングシートを組み合わせて設置したものかと思われます。故に袖仕切りの肘掛け的な役割を担う木は当時からあったもの、あとは台座だけ作って…実にエコな遣り繰りだと思わずにはいられません。

 
クロスシートも形状はそのまま、モケットの張り替えに留まっています。頑丈そうなひじ掛け周りのフレームも、脚が入るように工夫された切り欠きもそのままです。
特に1席しかない1人掛けクロスシートは編成中間に入っていても人気があるようで、結構埋まっている場面を見かけました。そんな1人掛けのクロスシートにも窓側にしっかり肘掛けを入れているのはエラいと思います。
そして、下辺をお洒落に斜めにした窓と、途中で止まってしまうロールカーテンの素敵な三角関係…え、使い方が違うって?!

それにしても、ロングシートをねん出したいから車椅子スペースを増設したのか、車椅子スペースを増設した結果ロングシートが余ったのか…よくわからなくなってきたので、そろそろ新江ノ島水族館のイルカに訊いてみようと思います。
 
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