江ノ島電鉄  2000形
 
  大きな前面1枚窓に観光電車らしい雰囲気を感じる人もいれば、江ノ電らしい落ち着いた緑の塗装にスタンダードカーとしての頼もしい雰囲気を感じる人もいるでしょう。今回は1990年に登場した2000形、その第1編成を中心に紹介しようと思います。
2000形の特徴と言えば方向幕もその一つ。四季折々のイラストも織り交ぜたそれは公式サイトでも堂々掲載されるほどの「ウリ」ですが、あれ、画像を見ると……(^^;;
車体は江ノ電ならではの「路面電車サイズ」。故に少し縦長な面持ちですが、東急車輛製造で作られたからでしょうか、リゾート21のような雰囲気も混ざっているような気がしますが、果たして車内は・・・?
現在も江ノ電で活躍しています。
(取材・撮影 江ノ島電鉄/鎌倉〜江ノ島)

 

 

 


車内全景です。車体長は12.7mということで車内全景でもかなり短く感じますが、大体車内の感覚が把握できるのではないかと思います。2両編成2ドアでドア〜ドア間はロングシート、車端部はクロスシートを中心に一部ロングシートが含まれる構成になっています。
外観同様緑をベースに用いた車内は1000形の流れを汲んでいます。窓が大きいのも特徴的で、そこだけ切り取れば観光電車なのですが、落ち着いた車内の色遣いはそれだけではない2000形の使命を淡々と語っているような気がします。


車端部です。ドアから2人掛けのロングシート、2人1組のクロスシートと4人1組のクロスシートがそれぞれ1つずつ設けられています。どちらの車両も4人1組の方が海側になるように設置されており、通路が狭くなるためか車両によって互い違いには設置していません。なお、後年登場した2000形の中には4人1組のクロスシートを2人1組に改めた車両もあります。

貫通扉は無く、妻窓も戸袋窓もしっかり備わっています。


逆サイド、大きな大きな窓ガラスが目立つ乗務員室との仕切りです。クロスシートを配置しているところからも伺えますが、前面の1枚窓を大きく生かした「魅せる」仕切りになっています。縦長すぎるのも不思議で慣れない感覚ですが、見所の多い江ノ電ならではの配慮であります。
ちょっと仕切りから離れますが、ドアの手前に縦長の物体が左右一つずつついていますが、これは鏡になります。まさか江ノ電の車両にも鏡がついているとは思いませんでした。普段は混んでいてそれどころじゃないと思いますが、江ノ島でデートする方は鎌倉からの「最後の一仕上げ」にも使えるかもしれません(^^;; 自分は・・・自身の顔を見ると失神しそうなのでやめときます(ぇ


ラインフローファンの存在がいかにも1990年代の車両といった感じがします。フラットに仕上がりました天井です。
吊革と吊り広告の数が多いのも終日混雑する江ノ電の象徴とも言えるでしょう。吊革の中にはバンドの外側のプラスチックの部分に広告が入ったものもあります。


床ですが…ちょっと妙な所をピックアップしてみました。連接車体なので車体をつなぐ部分はこのように円形の床が設けられています。関東では小田急のロマンスカーが連接車として有名ですが、案外もっと身近な所にいるものです。
床自体はシンプルに1色のみの使用。ほんのちょっと草の色も感じますが、ベースは灰色です。


ドア周りです。ドア窓の下の広告がまず目に飛び込んできますが、ドアの上ではなく下という発想はある程度の面積が確保できる片開き扉ならではと言えるのかもしれません。この形式が今のところ片開きドア最後の形式となっています。
鴨居部は短いながらもしっかり広告枠が設けられ、その上には案内関係の機器があります。
 
その路線案内表示機が画像右側、画像左の路線図と交互に配置されています。
現在地点や進行方向が路線図から一目瞭然にわかるもので、江ノ電の沿線の賑わいが伝わってきそうなイラストも織り込まれた楽しい表示機になっています。それとは若干仕様が異なるのが路線図。イラストも入っているのですがちょっと硬そうなイメージですね(^^; それにしてもラインカラーが路線案内表示機では青、路線図ではオレンジ。一体あなたの色は何色なのでしょうか(^^;;;

・・・足して2で割るとキツイ色になるのも仕様ですか・・・(^^;;;;


側窓で気になるのは乗務員室背後の部分。前面窓のデザインに対して下辺が斜めになっています。
ここの固定窓ガラスはきっと特注ですよ。いやー頑張りました(^^;;; そして撮影者も・・・いや、そこは気にしないでください(^^;;;; これだけ大きい側窓と前面窓に支えられたこの席、陽の光が乗務員室越しにまっすぐ入る時間帯や夜でなければかなり眺望が楽しめると思います。
なお、この斜め窓の部分には網棚がありません。1泊旅行などで荷物の多い方のご利用は計画的に。
他の部分には網棚がありますが、それは網棚というよりも・・・

荷棚ですね(^^; しかしながら半透明のプラスチックをふんだんに取り入れた荷棚…画期的です。
あと何年経つと「斬新だなぁ」なんていう言葉が似合わなくなるのかも気になるところです。


ここからは怒涛の座席ゾーン。まずはドア〜ドア間、この車両の「核」となる9人掛けのロングシートです。窓割に合わせたかのような3人掛けの座席が3組ズラッと並んでいます。緑に縦ラインの入ったモケットで、実に柔らかい座り心地です。バケット化や着席区分などは行われていませんが、3人ずつの区分けによってある程度の着席目標が決まってくるような埋まり具合でした。


それに対して2人掛け。こちらはドアとクロスシートの間に挟まったかのように設けられています。実にコンパクトな空間で、見るからに2人で座るにはきつそう。車内の鏡でバッチリ決めたお嬢さんが帰りに彼氏と乗るならこの座席も一つの選択肢かもしれません。もっともその選択肢さえなくなってしまうほど混んでいる事が多いのも事実ですが(^^;;
袖仕切りやクロスシートの背面もモケット。どこもかしこもモケットに囲まれた空間です。

 
車端部のクロスシートです。左の画像が藤沢行き進行方向左側、海が見える2人掛け、4人1組のボックス席、右の画像が藤沢行き進行方向右側、1人掛けが対面した2人1組のボックス席になります。どちらも手前の座席の真ん中の位置に側窓の桟があり、中には景色を眺める際に少し邪魔になってしまう方もいらっしゃるかもしれません。
2人掛けは奥の座席には通路側の席まで台座が伸びているのに手前の座席はオーバーな言い方をすると窓側の座席しか台座がありません。この作り分けには何かこだわりがあるのでしょうか・・・(^^;;;

なお、藤沢より車両の1人掛け、2人1組のクロスシートと鎌倉より2人掛け、4人1組のクロスシートは優先席に指定されています。JR東日本の優先席よりもピクトグラムの表示が1つ増えていますが決して後ろの看板に対抗してこの駅だけで増えたわけではありません。なんたらイリュージョンを使ったわけでもありません(^^;; 
優先席を表すのはステッカーのみでモケットは普通のモノを引き続き使用しています。

 
乗務員室背後の「展望席」とも言えそうなクロスシート部分。こちらも2人掛けの方は窓側のみ台座があります。藤沢より、鎌倉よりの車両とも共通で海の見える側が2人掛け、山側が1人掛けになります。

立客のための握り棒もあるほか、座った方への配慮として仕切りの一番下、銀色の部分に切込みがあり、そこに足をスポッと入れることができます。1人掛けの画像を見るとやんわり確認できると思います。裏に返せばそれだけこの席は足元が狭くなってしまっていることを暗示しているわけで… でもそれは景色の良さと相殺かな?!

 
別角度から座席です。先ほど挙げた点を除けば車端部、仕切り前ともに同じ座席になります。左の画像が2人掛け、右の画像が1人掛けになります。
狭い車内ながらも窓側に肘掛を設けている姿はご立派です。モケットはロングシートと同じですが、ロングシートでは縦に走っていたラインを横にして、ヘッドレスト下の縫いつけと揃うようにセットされています。
座り心地はやはりロングシート同様座面が柔らかいです。なのでちょっと背もたれとの不協和音を感じることがあるかもしれませんが、端から端まで座っても問題ない…どころかゆったり寛げる座席になっているのではないでしょうか。
なお、1人掛けの座席の座面はズレやすい節があるようなのでしっかり奥まで腰掛ける事をお勧めします。

 
最後に袖仕切りや肘掛をクローズアップ。肘掛の素材にプラスチックではなく木を用いているところに江ノ電の車両やお客さんに対する「思い」をひしひしと感じました。年が経つにつれて個性も発揮されるこの温もり。そして袖仕切りの上にわざわざ肘掛を設ける姿勢、同時期の関東の大手私鉄車両でここまでもてなしてくれる通勤車両はいなかったと記憶します。
江ノ電では木の床が楽しめる300形の一部車両も脚光に浴びていますが、この木はまさに隠れた逸材。ちょっとだけ今風な装いの中に見つけた「とまり木」と「のりおり」くんも悪くはないと思いますよ。

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