江ノ島電鉄  20形
 
  絶大なインパクトで登場した10形の次の新型車両。10形のプレミア感を残しつつ、さらに汎用性を高めたのが20形になります。2002年にまず1編成が導入され、2003年にもう1編成導入されています。
10形同様江ノ電のレトロなヨーロピアンなイメージを牽引するかのようなスタイルが特徴で、10形には採用されなかった「クリーム色」と「深緑色」の江ノ電スタイルの塗装は他の形式にも波及するなど、20形を起点に江ノ電のイメージが変わりつつある面もあります。
また、LED表示器を導入した点も大きな特徴で、2000形のような方向幕のイラストなどでの楽しみがなくなってしまった反面、明朝体で照らされる行き先はどことなくレトロな雰囲気に華を添えているかのようです。

(取材・撮影 江ノ島電鉄・鎌倉〜藤沢)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。10形と比較するとどうでしょう、こちらの方が「見慣れた電車」っぽく見えるのではないでしょうか。10形のエッセンスはさりげなく残っていますが、天井や座席、窓など至る所の意匠が他の車両でも見かけるような形状で仕上がっています。故に背伸びせずに普通に乗れるレトロな電車、という新たなジャンルを開拓したように思えます。

その中において暖色系の座席モケットは江ノ電の中では異色の存在です。

 
乗務員室背後の仕切りです。大きな窓とクロスシートの組み合わせは江ノ電ならでは。左の画像は藤沢方先頭車、右の画像は鎌倉方先頭車で車椅子スペースが設けられています。
大きな窓とともに目立つのが木目調の化粧板。妻面や仕切りの色や柄を側面と変えて雰囲気を作るという作戦で、車内全体に木目を配さなくても自然と木目の温もりが視界に入ってきます。うん、お見事。


車椅子スペースです。乗務員室の背後だからということではないとは思いますが、非常通報機も車椅子の固定道具も無く、単なる立席スペースと化しています。この区画は鎌倉行きでは混雑するスペースになりますので、凹凸をなるべくなくしたい意図でもあるのでしょうか。心なしか車椅子マークも小さめです。


車端部にも木目調が配されています。片側優先席、もう片側が通常モケットという組み合わせで、隣の車両も同じ構成になります。妻窓が小さいのは機器配置上やむを得ないようですが、幅広の貫通路がその小ささを補っています。


天井周りです。10形にあった白熱灯を模した照明や蛍光灯のカバー、荷棚の装飾などは一切なくなり、すっかり普通の装いに落ち着いてしまいました。中央にラインデリア、左右に剥き出しの蛍光灯が並んでいます。蛍光灯のカバーなどはつけただけでガラッと雰囲気が変わるのですが、メンテナンス性を最大限考慮したのでしょうか。


床です。連接台車上のテーブルから見ています。
ベージュの単色でシンプルに。実際はもう少し暗い感じで見えるかと思います。ちょうど全景の画像ぐらいでしょうか。

 
ドア周りです。大きく角張ったドア窓と窓下の広告が印象的ですが、鴨居の上に次駅案内装置を備えているバージョンとそうでないバージョンの2種類が備わっています。なんとなく直線定規を使ってカクカクしながら書いたような印象で(^^; 京王6000系もビックリな直角ップリを発揮しています。
ドアそのものは化粧板が貼られ、おしとやかに開閉します。片開き扉が多いので「おしとやか」でも混雑時には威力を発揮するのではないでしょうか。


江ノ電といえば次駅案内装置。20形でも設置されています。
LED表示器にはない味があります。海と山が描かれた美しい次駅案内装置です。
新型車両の液晶ディスプレイもこれくらい味のあるビジュアルが描ければ良いのに…つくづく思います。


夏の朝、江ノ電の車窓に広がる海。この風景が好きです。
ドア窓と戸袋窓には着色ガラスが使われており、側窓は景色もよく見える1段窓を用いています。


ここからは目の覚めるモケットが登場します。ドア〜ドア間は9人掛けのロングシートです。
バケットシートを用いてはいるものの、スタンディングポールなどは一切設けられていません。ただ、車体幅にとらわれることのない、奥行き、背もたれともにしっかりとった座席になっています。あとは…座席幅がもう少し広ければなぁ。
目が覚める赤い柄のモケットは前述の通り江ノ電では珍しいのですが、紅葉を思い起こさせるお洒落な柄です。

 
車端部のロングシートは4人掛けで。右側の画像は優先席で、青緑色の江ノ電っぽい色のモケットを使用しています。この後登場した500形とは逆の色遣いで、優先席モケットの色に関して言えば完全に異なってしまっています。このあたり、特に観光シーズンは混雑で賑わう江ノ電ではわかりやすく大まかな色だけでも統一した方が良いのではないでしょうか。

袖仕切りは化粧板を下に、上に握り棒を設けた形状を採用しています。藤沢〜江ノ島間で競合する小田急でもよく見られる袖仕切りです。内側にも木目の化粧板を用いた点はGoodです。あと江ノ電だったら肘掛けに相当する部分に木の肘掛けを設けてくれるかな…と期待したいところですが、残念ながら10形のようにそこまで木を巻き込んでいるわけではないようです。

 
乗務員室背後に設けられたクロスシートです。左の画像は2人掛け、右の画像は藤沢方先頭車のみの設置となっている1人掛けのクロスシートになります。
2000形、10形とは背もたれの形状や台座など大まかな形状は一緒ですが、肘掛け周りとモケットが変わったためこれまでのクロスシートとは趣がだいぶ異なって見えます。特に肘掛けが木製からプラスチックに変わってしまったのは使い心地の面からも残念です。肘掛けの台座に余裕が出来たのは嬉しいのですが…。


背面です。1人掛け、2人掛けどちらも大きな握り棒を備えています。また、肘掛けから下の部分は明るい木目調の化粧板を貼っています。ロングシート以上にふんわりした座り心地なのに、肘掛け周りと背面で軽く映ってしまう点は否めません。

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