江ノ島電鉄  10形
 
  1997年、江ノ電開業95周年を祝して作られた新型車両は・・・恐らくどの広告電車よりも目に留まるであろう大胆かつ江ノ電らしからぬ色とスタイルでした。その気合いの入りっぷりに驚く声も多く飛び交ったはず、今でも「江ノ島」と平然と掲げて停まっているのが日本の古都とは思えないオーラを放っているような気がします。10形です。
何かのジョイフルトレインにも見えてしまいますが、昔から日本の路面電車で度々見られる「欧米の路面電車が普通の車両に紛れて走っている」ような感覚で通常の運用をそつなくこなし、他の形式との併結が見られることも多いようです。ただ、江ノ電として唯一無二的な位置づけが強いのでしょうか、2編成目以降の増備は全くなく、100周年の時には10形よりも江ノ電っぽさを出した20形を新規に製造しています。
(取材・撮影 江ノ島電鉄・鎌倉)

 

 

 


・・・・・・欧米かよ!
というセリフを用意していたのですが、親しみやすさも含まれたレトロなムードが車内を包み込んでいました。見れば見るほど?!な部分もありますが、他の車両よりも遙かに敷居が高いということは無さそうです。
2ドアでドア〜ドア間をロングシート、車端部をクロスシートにした配置はこの形式の前に製造された2000形でも見られる配置ですが、両開き扉を新たに採用したため、これまでの車両よりも若干座席数が少なく見えてしまいます。


先に車端部から見てみます。妻窓の形状が気になって気になって仕方がありませんが、上辺がカーブした良いムードの窓ガラスはこの先も色々な画像で見ることができます(^^;;
藤沢方、鎌倉方どちらの車両も海側に4人一組の固定クロスシートが、山側には2人一組の固定クロスシートが備わっています。そしてその真ん中には丸く切り取られた床があります。ここを見てようやく「ほっ江ノ電だ」と思う方は果たして何人いるのでしょうか(^^;
なお、4人一組のクロスシートの上のみ吊革がありません。

 
またも特注と思しきガラスがドドンと登場しました。乗務員室との仕切りです。左の画像は藤沢方先頭車、右の画像は鎌倉方先頭車の様子になります。折り畳みの座席の部分は車椅子スペースになっています。
ブロンズ色を枠に取り入れ、下3分の1くらいを木目調の化粧板で覆った色合いも注目点ですが、それよりも目立つのが大きな窓。2000形のように完全に眺望に対応したスタイルではないものの、乗務員室が先に向かって少し狭まっていることと前面ガラスも上辺が丸くかたどられた物を用いていることから、ちょっとした額縁に飾るような感覚で展望が楽しめます。さしずめお手軽版スケッチシートというような格好でしょうか。


収納座席を展開して、ちょっと前にファインダーを出して撮ってみるとこのような格好になります。車椅子スペースを示すピクトグラムは控えめで自らその主張を押し潰しているように見えますが、収納座席の存在感は周りに馴染んでいます。雰囲気だけレトロと最新の設備の融合が手軽にできるのも新型車両の特権です。


天井です。外観ではダブルルーフに見立てて冷房装置などを見せないよう工夫していますが、車内も小さな工夫がいくつも施してあります。基本は通勤・通学の友なのであまり派手なことはできないようですが、それでも蛍光灯はカバーつきにして、その間を若干高くしています。また、中央部何ヶ所か電球色の照明を設けており、これが画像では伝わりにくい良いムードを出しています。出来れば夜間人が少ないときは蛍光灯を消して欲しいくらいです(^^;;

吊革も支持棒がブロンズ色に仕上がっており、銀色の冷たい雰囲気をかき消しています。


床です。ここはシンプルに茶色一色。濃い茶色をベースにした木目調やホンモノの木だったら手放しで喜んだのですが、ここはあくまでもスタンダードに攻めるようです。


ドア周りです。鴨居部の上に電光表示板があり、1つおきにあるドアと無いドアが並んでいますが、あくまでも鴨居の上ということで、今回はあるほうのみのご案内とします。
化粧板を貼ったこともさることながら、ドアの窓も妙にカーブがつけられており、ここも凝った演出を魅せてくれます。内側から見ると困った顔のように見えてしまいますが、外側から見るとキレイに処理が施されており、見方によっては両開きに見えないように感じる事もありそうです。


その上の電光表示板です。絵の中に駅名と進行方向があり、どのあたりを走っているかが一目でわかります。2000形と同じ装置なので10形に乗ったことが無くても見覚えのある方は多いかもしれません。

 
では怒濤の座席ゾーンにエスカーもビックリのスピードで突撃、まずは車端部のクロスシートからです。とにかく木目調がキレイ、そして所々に気を遣う・・・もとい木を使う演出が好印象です。2000形でもあったのでこれも珍しく無いかもしれませんが、適当なプラスチックでごまかしが効きそうな所も抜かりはなく、化粧板の木目調が「浮かない」秘訣にもなっています。

 
個々の座席を見ていきます。まずは4人一組のクロスシートから。ちょっと座面が薄く、大味気味の座り心地で、座席そのものも決して大柄では無いのですが、そこは乗り通しても1時間かからない路面電車なので目をつぶるのも容易い事かと思います。
通路側の座席は座面の下が吹き抜けています。清掃上、あるいは点検上スペースを空ける必要はあったのかもしれませんが、演出面から見るとちょっと頼りなさげな気がします。

あ、駅の看板の上に人の姿が見えますが・・・心霊写真ではありません、多分(^^;;;

 
2人一組のクロスシートは足元しっかりというムードが漂っています。妻面に面したクロスシートはしっかり壁に接するようにかたどられており、窓も座席を考慮した高さに設けられています。それぞれキチンとブロンズ色の金具で端の角を押さえていますが、それだけに座席のモッサリ感がちょっと目立ってしまっています。このあたりの感じ方は人それぞれだと思いますが、もう少しシャープなシルエットの方が座席としてキレイに写ったかな?と思います。
1人で座る分には幅は十分確保されており、両側とも肘掛けがついているのが嬉しいです。ただ、戸袋側の席は桟がちょっと気になるところです。あと、景色も・・・これはこの席を選んだ宿命みたいなものなので、混んだらひたすらガマンデス。

 
乗務員室背後の座席についても車端部と同じクロスシートが使われています。まさに「1人掛け」席は藤沢方先頭車しかないため、混雑する日はなかなか座れなさそうな予感がします。


ドア〜ドア間は9人掛けロングシートになっています。モケットはクロスシートと同じ物、袖仕切りも肘掛けと同様に木でできた本格的な物、座面下のヒーターカバーも焦げ茶で決まっていますが、ここだけ切り取ると観光色が一掃されてしまうのは仕方が無いことなのでしょうか。

 
ロングシートと言えばこちらも忘れてはいけません、車椅子スペースのところで紹介した折り畳みの2人掛けです。そこでも紹介しましたが、ここまで場の空気を読んでいる折り畳み椅子も珍しいのではないでしょうか。でも座り心地は座面が特に薄く、本当にちょっとした距離を腰掛けるだけ、といった装いです。


優先席はステッカーの対応、モケットでの区別は特に行っていません。他の会社が近年透明のステッカーから不透明のステッカーに切り替わったものの、江ノ電では透明タイプを使い続けています。


 
暖かみのある雰囲気、そして所々隠れている緩やかなカーブがこの車内の醍醐味。江ノ電というネームバリューにこの車内を照らし合わせた時に色々な意見が飛び交うと思いますが、細かく緩やかな車内構成は、やがて後世にもしっかり受け継がれていくのではないかと、勝手に期待しています(^^;。
 
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