叡山電鉄  700系
 
  昭和62年から63年にかけて、叡山電鉄の主力車両が続々と増備されていきました。両運転台の1両編成はワンマン運転が威力を発揮する閑散とした時間帯から行楽シーズンの繁忙期まで柔軟に対応できます。比叡山、鞍馬への足でもある叡山電鉄の700系です。
くの字形に斜めに折れた前面はシンプルながら斬新なデザインとなり、以後800系でも採用されています。同じ単行車両のいる京都の私鉄「京福電車」が伝統を重視しているかのような出で立ちなのに対し、叡山電鉄は斬新なデザインをさらに活かすべく2002年頃から塗装変更を行っています。画像も塗装変更後の姿になります。
登場時は釣り掛け駆動だったものの今は抵抗制御に換装され、先述の通り叡山電鉄の全線で活躍しています。
(取材・撮影 叡山電鉄叡山本線・出町柳)

 

 

 


車内全景からご覧頂きます。パッケージとしては路面電車に近く、前後にドアを設けてその間に長いロングシートを設置しています。路面電車よりも断面が大きい分開放感があり、大きな側窓は薄緑色の内壁が持つクールな色を打ち消しています。
出町柳駅の構造も災いして混雑時はなかなか車内中央付近まで人が入っていけず、どうしても出入り口付近に人がたまってしまう光景を良く見かけました。2ドア車故に仕方がないところではあります…。


車端部、乗務員室との仕切りです。乗務員室ドアの上が壁がなく、その奥には車内確認用のミラーが設置されています。ワンマン化に伴って車内の雰囲気をよりキャッチしやすくした点は好感が持てます。一方、運賃箱の位置は運転士の背中になるため、運賃収受のたびに腰をぐいっとひねる必要があります。ぎっくり腰の人は大変です(^^;;

そのワンマン機器類です。上の運賃表示器は次駅案内や行先案内もできます。鞍馬方面、比叡山方面と途中で二方向に分岐する叡山電鉄では必須アイテムです。
その下の運賃箱。関西を走る私鉄らしく「スルッとKANSAI」のカードリーダーも備えています。乗車時に整理券発行機の脇にあるカードリーダーにカードを通し、降車時に運賃箱のカードリーダーに通す仕組みで、関東で言うところの「バス共通カード」と同じ使い方になっています。


天井は昭和62年生まれらしいフラットな装い。ラインデリアの他に吹き出し口も完備。吊り広告もあることから思った以上に目立ってはいない模様です。蛍光灯は剥き出しで、吊革はロングシート部分に2列でしっかりサポートしています。

床は灰色一色。この画像だけ見ると京阪よりも国鉄や阪神色の方が濃い気がします(^^;;


ドア周りです。片開き扉は薄緑の化粧板を貼り、鴨居部と合わせてあまり目立たない存在になっています。このあたりは京阪特急車の落ち着いたドア周りと同じ雰囲気を感じます。南海の片開き扉車ほど目立っている感じもありません(^^;;
戸袋部分に窓は無く、普通ならば左右一つずつ設置されるであろう広告枠が二つ並べられているのがユニークです。もう優先座席のステッカーの存在感がなくなってしまっています(^^;;;


さて、側窓をご覧頂くとこの700系最大の特徴がどどーんとお目見えします。なんということでしょう、側窓は前後のドアから2段窓が続きますが、真ん中だけ固定窓がスタンバイしているではありませんか。
しかもこの固定窓の上には荷棚がありません。いったいぜんたいどうしてそのような仕様になっているのでしょうか?この謎については某「娯楽番組」で優秀な探偵さんに調べて頂きたいくらいですが(^^;;
推測できることとして、2段窓の長さでは入りきらない(^^;なんて設計はないと思いますので、固定窓の空間を上下に広げ、ガラスを取り除いた上で将来3ドア化する計画があったのかもしれません。

 
座席はドア〜ドア間の1種類のみ、左右共通の長いロングシートです。背もたれと座面が分離した座席は角度が切り立っており、座面の沈み込みと背もたれのサポート具合がややアンバランスな印象でした。立席面積を大きくしたいという意図は明白で、乗車時間も多くないのでこの奥行き、この背もたれで妥当なところかと思われます。
長いロングシートは途中に肘掛けなどは無く、慣れた感覚で適宜互いに隙間を作りながら座っていました。端に「貼られただけ」の優先座席ステッカーもそうですが、アバウトな感覚がきっとこの叡山電鉄には根付いているのでしょう。


最後にクローズアップ袖仕切り。整理券発行機の脇にある袖仕切りは内側にモケットを貼った板状の物、反対側はパイプで構成した簡易的な袖仕切りです。さぁ、あなたのお気に入りはどっち?!

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