ディズニーリゾートライン  10形(リゾートライナー)
 
  平成13年に登場したディズニーリゾートライン。パスネットも使えるディズニーのアトラクション…否、公共交通機関としてすっかり定着しました。とある鉄道評論家が全国の鉄道事情を研究する書籍において「もっと情報を開示すべきである」ともぞもぞと苦言を呈したのも記憶に残るところですが、利用客からすればこれだけドキドキ・ワクワクする乗り物もなかなか珍しいもの。
夜は主にディズニーランドや舞浜駅からオフィシャルホテルへの移動、そしてディズニーシーから舞浜駅やオフィシャルホテルへの移動を担っているようで、1周12分、一方向の環状運転もなかなか考えられているなぁと唸った次第です。

(取材・撮影 ディズニーリゾートライン・各駅)

 

 

 


車内全景です。画像よりもほんの少しオレンジの色味が強い照明で夜はお出迎えしてくれます。この落ち着いた雰囲気がこの形式のツボで、非日常感を彩るシンプルな演出も暗くなってからが真骨頂ではないかと思い、あえて夜に乗りに行った次第です。日々の通勤電車の冷たい蛍光灯の色を思うと、ちょっと素敵な色合いに見えてきませんか…?
ロングシート、2ドアの車内で、先頭車両は展望席、画像は最後尾から2両目の車内全景になります。季節限定でラッピングライナーが走っているようで、その場合は車内にもコッテコテの…失礼素敵なラッピングがされますが、ベースはご覧のとおりシンプルにまとめています。


外観ではなかなか気づきにくいですが、最後尾には乗務員室を設置し、ドア開閉やアナウンスを行っています。その仕切りもやはり実用本位の設計で、ちょっと無理して真ん中の仕切り窓を丸くしました…程度です。故に全く飽きが来ないだけでなく、その後の各施設へのワクワク感を少し盛り上げているのではないでしょうか。ただ、乗務員の方にはちょっと気の毒かもしれませんが、もう少し展望を考慮した仕切りにしても面白かったかもしれません。
車椅子スペースは編成中2か所、真ん中の車両にありますが、このスペースは意外と空いているので、ベビーカーの置き場に困ってしまうような家族連れにも重宝しそうです。


そして前面展望が楽しめる先頭車両の様子です。2人掛けのクロスシートが4つ設置されています。この照明のシンプルかつ上品な展開…モノレール好きでなくても気分が高揚するようで、大人の方もこの眺望に盛り上がる様子を乗車中何度も拝見しました。
欲を言えば、先頭の桟が白ではなく黒だと、前面展望を見るときの桟の妨げが少しでも防げたのではないかと思います。


中間車の車端部の様子です。中間車は片側がショーケースも含めた出っ張りがあり、もう片側が妻面までロングシートが伸びた格好で、どちらか片側が優先席に充てられています。先頭車は両側とも出っ張りがあり、車椅子スペースは前から3・4両目の進行方向前方左側にあります。幅がやや広い貫通路は編成全体を貫き、その上には車両番号が掲出されています。何号車…という記載が無いだけに、車両番号が掲出されているのは意外です。

ショーケースの中には液晶画面や展示を駆使した広告が入っています。通勤電車でこのような魅せ方をされたらしばしば釘づけになりそうです。画像では周りのあかりの反射が鬱陶しく映り込んでいますが、実際そこまで気になる事はありません。むしろ壁に貼られた広告の工夫が無い魅せ方に少々がっかりしてしまいます。

 
車椅子スペースのある車端部はこんな感じで、右の画像が車椅子スペースになります。非常通報機と車椅子の固定器具を備えている他、握り棒を横方向に伸ばしています。
乗車時間自体は長くないとはいえ、編成中2か所の車椅子スペースで足りるのかな?と思う場面もしばしば。ベビーカーの家族連れやキャリーケースの事を思えば、あと2か所くらいあっても良いような設備です。

天井周りです。吸い込み口を丸く象った部分が印象的ですが、思いのほかシンプルな造形です。吊革も必要最低限といった具合ですが、キャラクターをモチーフにした可愛い形状の吊革は写真を撮られる方もしばしば。照明は外側につき、ドア前等必要な部分をしっかり照らします。ライトワークの影響からか荷棚がありませんが、少し小柄な車内で乗車時間を考えれば必要はありません。
なお、画像にはスピーカーがついていますが乗車中絶えずBGMが流れていました。地下鉄でBGMを流すトピックスが賑わった平成30年。それよりも遥か前から…と思うと、あかりの色温度だけでなく、ここも先駆者と言えるでしょう。さしずめ、鼠先輩…(殴


床は明るめのベージュです。タイヤボックスが目立たない事が自慢の床ですが、意外にも点検蓋がででんと控えています。この2年後に開通した跨座式モノレールのゆいレールも点検蓋があるので、この手のモノレールにはつきものなのかもしれません。

 
さりげないライトワークが美しいドア周りです。乗務員の方のお話だと、この丸い窓を見て「アヒルのキャラクターの目」に見える声もあるそうですが、「ネズミのキャラクターの服(ベルト?)の丸」を表現したとのこと。その設定を知らなかったとしても、非日常感を演出するには十分なデザインに仕上がっています。ホームドアの無骨さがかえって目立ってしまいますが、導入時期のバリエーションを考えれば仕方が無い部分かと思います。
両開き扉で、開き方は実におしとやかです。


液晶ディスプレイによる次駅案内ですが、このフォントについては何ら飾り気がなく、正直この車両の中で浮いた存在になってしまっているように感じます。液晶ディスプレイになった以上は少しは凝ることもできると思うので、時に絵文字も加えながら、もう少し楽しくなるような、丸みを感じるような書体を選んで欲しいものです。
また、走行時間が長い時には停車駅案内を最寄り施設と一緒に流すと、小さい路線図に頼ることなく下車駅を確認できるので良いかなぁと思います。


窓周りです。外からも大きくわかるとおり、キャラクターの顔をモチーフにした枠を用いています。ドア〜ドア間に縦長の窓があり、蝶番がチラッと見えるのですが…何か仕掛けでもあるのでしょうか?気になります…。

 
先頭車両の展望席は一方向の固定クロスシートになっています。左の画像がドア寄りの座席です。右の画像は非常時に乗務員席にもなるであろう座席です。
丁寧に肘掛けまで設けた座席は足元こそ狭めですが、奥までしっかり腰かけられるので後述のロングシートで感じる違和感をあまり感じずに済みます。個人的な意見としては、乗り降りにどうしても時間を要してしまう区画になってしまうので、肘掛けはなくても良いのかなぁと思うところです。
あと、取っ手は縦方向にもう少し長いと、あらゆる身長の方がつかまれるようになると思います。何せこの区画、人気があるもので…うん、大きな子供の私も気持ちはわかります。


車椅子スペース脇の座席は2人掛けのロングシートです。ひじ掛けの脇に握り棒があります。ここが空いていたらリア充の2人で和気あいあいと座るのも悪くないと思います。ただ、優先席ですが…。丸みを帯びた座席下のヒーター、奥行きなど、先ほどのクロスシートとは全くの別物であることが伺えます。

 
車端部、4人掛けのロングシートです。左右の画像の差については後程種明かしを…。
ちょっと幅がタイトなロングシートで、座面の厚みに対して背もたれにやたら厚みがあるのが特徴です。厚みがあるのは弾力がある事を示し、見た目以上に深く座らせてくれません。尤も座っても1周12分、ドア〜ドア間の座席に合わせてデザインを重視しても差し支えない乗車時間には違いありません。
バケット形状などは特にないので、閑散とした時間帯にはまったりくつろぐ事もできます。空いたリゾートラインの車内、パレードの最後の花火をまったり眺める夜も悪くありません。

 
中間車で車椅子スペースが無い車端部はこのような5人掛けもスタンバイしています。
こちらも左右で画像を載せましたが、違い、分かりますか…?
先ほどの4人掛けの画像もそうですが、2枚のうち右側の画像は優先席の模様で、モケットが通常仕様と微妙に異なるのです。
…なんということでしょう、左画像の通常仕様のモケットでは灰色主体のモザイク柄を用いているのに対し、右画像の優先席仕様のモケットでは黒色主体のモザイク柄を採用し、遠目からさりげなく判断がつくような工夫がされているのです。
ということで、黄色や赤いモザイク柄が右画像の方がさりげなく目立つのがお分かりいただけますでしょうか?

恥ずかしながら、私は乗務員の方に教えて頂くまで全く気が付きませんでした(^^;;
この色の選定もキャラクターをモチーフにしているそうです。が、隠れなんとかはいない模様です。


ドア〜ドア間のロングシートです。中央に区切りを設けてソファのように見せた、お洒落な配置のロングシートです。大体4〜5人が座れます。
この配置は家族連れにピッタリで、車内中央までなかなか詰められない車内空間をうまく使ったアイデアものだと思います。弧を描く部分にうまく座れれば会話も弾みそうです。ただ、中央の弧を描く部分のクッションを考慮したせいか、背もたれが厚めにできており、座面の厚みと不協和音になってしまっている点は否めません。それでも、こういう座席を載せた車両がもう少し身近なところにいると、ちょっとだけ鉄道でのクルージングも愉しくなってきそうです。


ソファのひじ掛けと立ち客の握り棒を考慮した袖仕切りです。ここはもう少し遊べたかな?と思う反面、あえて握り棒をなくしてより車内を広く魅せるのも良かったのでは…とも思います。

 
キャラクターにどうしても注目してしまいますが、それを抜きにしても、1周12分の愉しみや悦びの中に、これまでの通勤電車では表現できていなかった非日常な空気を出すための工夫があるのでは…と思う点、そしてそれは夢と魔法の遠い世界…ではなく、徐々にそれに気づき始めた車両が出てくるのでは…と期待する平成30年の2月。スーツで乗っている方も数人見かけましたが、夕方のマジックアワーの時間帯にこの車両で帰れる悦びをいつかは味わってみたいものです。It's romantic.
 
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