富山地方鉄道  14720形
 
  富山地方鉄道の新旧塗装が地鉄富山駅で揃いました。14760形と比べると全体的に丸みはあるけど、前面の傾斜がなくあまり速そうではない出で立ち…14720形、富山地鉄電車では最古参の車両になります。
2編成が在籍していましたが、1編成は2012年の火災で焼失してしまい、現在は1編成のみの在籍になっています。ワンマン化改造を受けているのでどの路線、どの運用にも入れるような形になっています。どの運用にも入れるようになっているものの、いかんせん1編成しかないので乗車チャンスは多くありません。また、地鉄電車としては14760形をプッシュしているようで、数多くのグッズが出ている14760形とは対照的にあまりグッズの対象にはならないようです。1962年の製造から今年で50年、そろそろ何かやりませんか?
(取材・撮影 富山地方鉄道本線・宇奈月温泉〜電鉄富山)

 

 

 

 
車内全景です。2ドアの車内はドア〜ドア間を転換クロスシートに、車端部をロングシートという仕様です。座席配置だけ見れば後継の14760形と同じですが、車内がそれよりも暗いのは床と座席の配色が大きく影響していると思われます。
長野電鉄2000形にも似た広い天井、カバーつきの照明、縦長の2段窓が往年のグレードの高さを物語っているんだなぁと感心しました。そういえば長電2000形のワンマン車も似たような雰囲気、似たような改造を行っていますネ。

レッドアローでもノスタルジーを感じることは十分できますが、この車両のノスタルジーな空気はどの車両よりも超越しています。

 
ワンマン設備が備わっている乗務員室背後の「広場」です。吊革やヒーターの配置から推測すると元々ロングシートが設置されていた区画かと思われます。また、ICカード「えこまいか」導入に伴い運賃箱が交換されている可能性があります。

さて、仕切りの画像を2枚並べていますが、撮影した位置はほぼ同じ、でも仕切りの手前の窓配置が異なっています。左の画像が富山方先頭車、右の画像が上市・立山方先頭車です。なぜ窓配置が違うか…それは全長が異なるからです(^^;; 左の画像の富山方先頭車は元々中間車で、寸法を変えずに乗務員室を設けた結果、ドアと仕切りの間の広場にしわ寄せが来たというのが事の真相です。

なかなかザックリと先頭車改造を行っている点が斬新かつ古豪の勢いを感じます。


車端部をはじめ、乗務員室とその周り以外は2両とも共通の内装になります。車端部はロングシートでビシッと決めています。貫通扉はワンマン運転ということもあって閉まらないよう加工されています。

…と書いてみたものの、妻面の広告枠の高さが気になる今日この頃。14760形のビックリ改造でお馴染みの地鉄電車だけに、昔むかしクロスシートがいてもおかしくなさそうな広告枠の高さです。


天井はカバーつきの蛍光灯をメインにちょっと低めに冷房吹き出し口が広がっています。扇風機はありません。
カバーつきの蛍光灯は富山地鉄では割とお馴染みなアイテムですが、カドを活かした見せ方は国鉄型の特急車よりも関西圏の私鉄のような雰囲気さえ感じます。


床は青緑色一色です。座席の色とはちょっと合っていませんが、ここまで清々しい青緑もかえって珍しいものです。


ドアはいわゆる「塗りドア」になります。地鉄電車ではお馴染みの片開きドアですが、見事なまでに塗りドアです。塗り替えがあまり多くないのか、ちょっとくたびれているところが窓の下などに見られます。その窓を支えるゴムは黒いので耐久性自体は重視しているようです。
お願いの紙がA4横で貼られているのがちょっと視界に入ってしまいますが、ドア窓によくついている「指づめ注意」などの広告ステッカーが無いので透過されているかどうかという点だけが焦点のような気がします。


縦長の二段窓。製造年の割にカクカクした窓の上には座席番号のプレートもついています。シートピッチにあっているのは言うまでもありません。網棚から天井にかけての空間も広く取られています。登山客の方には今も昔も嬉しい配慮です。


ロングシートは車端部のみの設置です。ちょっとバネがやられつつありますが、真っ赤なモケットのロングシートは座面の奥行きが深く、袖仕切りもなかなか面白い形状をしています。強いて言うならクロスシートにあるような真っ白なカバーを背もたれにかけたいところですが、どんなに真っ白なカバーをかけても、転換クロスシートの個性があまりにも強すぎてなかなかロングシートまで注目がいかなさそうな点が残念であります。

 
その転換クロスシート、そして固定クロスシートです。どちらも真っ直ぐな背もたれに沈み込みが素敵な座面。固定クロスシートの肘掛けも良いカーブを描いていますが、やはり転換クロスシートの肘掛け、そして背もたれの支持方法の美しさにはついつい惹かれます。この時代の転換クロスシートがなかなか無いという事情が幸いしているからかもしれませんが、大井川鉄道「しらさぎ号」や長野電鉄2000形が引退した今、果たしてこの形状に近い転換クロスシートが他で乗れますでしょうか?シートヒーターカバーが真っ直ぐで足を入れられるような蹴込みさえない時代の転換クロスシート、さすがに経年劣化は仕方が無いところですが、私的には座り心地を抜きにしてご飯が何杯でもいけるような美味しさを感じます。


転換機構が剥き出しの肘掛けです。肘掛の支持部分が小型なので指や服を挟みやすい弱点はありますが、それはそれで個々に気を付けて頂くことにして、ぜひこの丸みの美しさを味わっていただきたいものです。


最後に全体像を。ドア〜ドア間は基本的にはクロスシートの配置になります。通路で立つお客さん向けの取っ手が無いのでラッシュ時には難儀しそうですが、それはそれで個々にふんばって頂くとして、若干不格好な仕切り、そして肘掛の丸みが固定座席と転換クロスシートでバランスのとれたデザインになっている点をかみしめたいものです。

…この際、長距離運用ではちょっと力不足な点や乗り心地ではうーん…という点はコソッと胸の奥にしまっておくことにします。

 
ドア上の常設広告です。ホーロー看板のような耐久性とわかりやすさ、そしてデザインの美しさをとくに「ロマン漂う山峡のいで湯」に感じます。裏面を見ると「命の保証はありません」なんて…書いていないことを切に願います。
 
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