秩父鉄道  6000系
 
  急行秩父路としての活躍もすっかり見慣れたものになりました。2005年から2006年にかけてこれまでの3000系を置き換えた6000系です。
すっかり見慣れた…と書きましたが結構塗装の変更が激しい印象があり、時にヘッドマークで、時に懐かしの塗装でファンを愉しませてくれている印象が強い車両です。ただ、近年は5色の電気機関車に押され気味ですが…(^^;; オリジナルは左の画像の塗装です。
急行秩父路は朝晩の運転で、平日は影森〜熊谷を主に活躍しています。本数が少ないからか、各駅停車では時間がかかるからか、はたまた急行定期券の効果か、夕方ひょいと乗ると結構席が埋まっている印象で、これならもう少し走らせても良いのでは…とついつい思ってしまいます。この絶妙なバランスが長続きする秘訣の一つなんでしょうか。私も細く長く生きていきたいものです。
(取材・撮影 秩父鉄道線・影森〜野上)

 

 

 


車内全景です。元々3ドアだった西武新101系を2ドアにしたうえで、西武鉄道10000系ニューレッドアローの座席を持ってきました。その元々の車内を知っている方はそのギャップに驚くか、案外種車の面影が残っていると思うか…最初見た時、私は前者でした。灰色の座席が飛び込んできますが、ヘッドレストカバーの水色と床の紺が爽やかな車内で、秩父鉄道の通勤車とは一線を画しています。そんな爽やかな車内に入った瞬間、まずする作業は窓配置がピッタリ合う座席探し…これが難儀するんです。
都市型ワンマン運転のため、停車してからドアが開くまでのタイミングに一瞬間があります。

 
乗務員室との仕切りです。左の画像は羽生方先頭車で車椅子スペースが備わっています。右の画像は三峰口方先頭車の仕切りです。案内表示器や非常通報機が設置されていますが、ドアや窓の配置は元の車両のままです。軽快に走るので前面展望を…といきたいところですが、大人が座ってもなかなか厳しいです。故に修行席のような様相ですが、羽生方先頭車の座席は隣が車椅子スペースで空いていることが多いので、あまり人目が気にならない空間になります。


案内表示器です。車内の前後2か所に設置されていますが、ちょっと遠くからだと一度に表示される文字が少ないこともあって見難いかなぁ…という印象です。蛍光表示管により表示しており、秩父鉄道では唯一の存在です。あれ、東急からの譲渡車は…?と思ったのは私だけではないと思いますが、そちらはLED表示器が備わっています。
次駅案内、行先案内などの表示が右から左へ流れていきます。


羽生方先頭車の車椅子スペースです。私はこの戸袋窓と側窓が縦長で連続する姿が非常に好きで、間の壁も気にならないくらいずっと眺めていたいのですが(^^; 西武多摩川線などで活躍を続ける新101系もこのスペースを活用して車椅子スペースが設けられていますが、そちらは向かって右側、こちらは向かって左側です。握り棒が窓の下に通っていますが、仕切り窓の握り棒は種車そのままの仕様です。ヒーターなどは特段ありません。非常通報機が低い位置にあるのは嬉しい配慮で、遠くからも見えるように通報機の上には「SOS」と書かれています。


車端部です。基本的にはこの1種類のみです。4人1組の固定リクライニングシートが左右に展開されています。種車を活かした窓の多い配置はそのままで、特に妻面の戸袋窓でない方は窓の開け閉めが3か所で行えるという展開に…こだわりの開け閉めが楽しめます(^^;; 画像ではわかりにくいですが妻面側の座席と妻壁の間にはデッドスペースがあり、消火器もそこに佇んでいます。案内表示器や非常通報機など、大事なものをギュギュっと詰めた感じがポイントですが座席の足元は悠々、なかなか居心地の良い車端部です。


天井です。種車のスッキリした平天井をそのまま活かしています。2列に並んだ蛍光灯は途切れることなく続いているので車内レイアウトの変更も何のその。この蛍光灯にカバーがついていない点に違和感を覚える方は先代3000系の記憶が頭の片隅に残っている方かもしれません。ドア周りの吊革も斬新で、新101系では逆にこの部分の吊革はありませんでしたし、行楽シーズンの強い味方になることかと思います。むしろ流用したから仕方が無いとしても、座席部分に取っ手がないのが気になります。


紺色…というよりもブルーグレーという表現が妥当でしょうか、床です。シンプルながらも点検蓋の幅がちょうど通路という奇跡のような構成が素敵です。


ドア周りです。半自動ドアになりました。ステンレスのドアの上にはドアチャイムが設置されています。ドアコックの位置がなかなかユニークで、リクライニングシートの台座部分になります。そういえば、伊豆急8000系もこの位置だったような…。
ドア周りはそこそこスペースがありますが、リクライニングを倒すことができるので、この画像よりもドア周りが狭くなったり、倒した角度によっては立客が気になることも想定されます。座席の項目でも後述しますが、この形式の最大の謎が「なぜリクライニングできるか…」で、その一端が見える部分です。


ドアボタンです。左が車外、右が車内のものです。2005年くらいではまだ半自動ドアボタンの個性が爆発する前夜といった状態で、お馴染みのボタンがスタンバイしています。この系列は何度か取材したことがありますが、時期が悪いのか使っている場面に出会ったことがありません…。


窓周りです。ここから見てとれるように窓枠と座席位置が全く合っていません。元々ドアがあった位置に固定窓が入っていますが、この部分の窓割が一番良い具合というのはいかにも改造車の泣き所…です。その固定窓の周りの壁には急行秩父路からのお知らせが貼ってありますが、広告がないのでこの手の貼り紙もあまり煩さを感じません。


座席は乗務員室後ろのリクライニングシートから見て頂きます。リクライニングシートです。この車両の座席は全て向きが固定されていますが、西武時代そのままのリクライニングを愉しむことができます。台座にあったバータイプのフットレストは撤去されていますが、アームレストはそのままで、やはり伊豆急同様ボロボロになっています。面白いのはどちらも上げた状態がデフォルトになっていることで、あまりボロを晒したくないのでしょうか。

 
ドア〜ドア間の座席です。4人1組の固定リクライニングシートが5組、ドアの戸袋に近い座席は中央に見合う形で2人掛けが配置されています。なかなか面白い座席配置です。
まずは戸袋に近い座席からで、2人掛けの固定リクライニングシートです。この区画は窓周りにテーブルがつけられなかったことから背面テーブルがそのまま使える状態になります。座席回転をしないこともあって、この背面テーブルはまだまだ活き活きしている感じです。また、気兼ねなくリクライニングができる利点もあり、始発駅で見ていると進行方向のこの座席から埋まっていくような印象です。
難点は戸袋窓のカーテンが無い部分、ドア周りが混むと視線が気になるところでしょうか…そう、これこそ天国となんとやら。


4人1組の固定リクライニングシートです。窓割が唯一合う区画です。右の座席はリクライニングしたところで、見切れたリクライニングシートがデフォルトの位置になります。…この形式は「リクライニング合戦」が展開される座席配置になってしまっています。リクライニングも早い者勝ちの様相を呈しています。これ、どう考えても揉めそうな気がしますが大丈夫でしょうか?揉める前に伊豆急のようにリクライニングをある程度の位置で固定したり、座席配置を京急2000形のような中央集団見合い型にすれば良かったのに…と思うのですが、秩父鉄道3000系の座席配置が脳裏によぎったのでしょう、2005年の登場からずっとこの配置です。


車端部の固定リクライニングシートです。こちらも他の座席と同じ角度までリクライニングができますが、リクライニングすると画像に収まりきらなくなるので、ひじ掛けのみ出した状態で撮影しました。
座席そのものはなんだかパッとしないモケットで、塗り壁のような様相ですがヘッドレストカバーの爽やかさが救いです。ヘッドレストが盛り上がっているのは昨今の流行のさきがけのようにも見えますが、ヘッドレストに一工夫施した座席はこの座席の前にもしっかり存在します。
全体的にモチッとした座席の座り心地はなかか良好で、窓側の足元も狭さを感じません。ヘッドレストもまずまずの柔らかさで私には居心地良かったですが、お子様にはちょっと厳しいかなぁといったところ。早く大人の秩父路をライン下り…じゃなかった、大人の三峰神社階段を上ってこの座席を堪能してもらいたいものです。
 
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