秋田内陸縦貫鉄道  AN8800形[お座敷車]
 
  2003年にローカル線仕様だったAN8800形1両に改造を施し、お座敷列車に華麗な変身を遂げた車両がいます。外観は塗装の変更くらいで形状にあまり変化が無いですが、派手な塗装が多い秋田内陸縦貫鉄道の中では割と落ち着いたベースの色で、留置中もどっしり構えている印象があります。
方向幕には「急行 角館」と出ています。団体の運用が主ですが、年に数日急行列車の運用に入ることもあります。そのチャンスが巡ってきたので出かけてみましたが…この雪の多さ、乗車前から「雪見列車」状態でした。後ろにはAN2000形がつながっていましたが、その理由が良くわかる乗車体験となりました。
(取材・撮影 秋田内陸縦貫鉄道秋田内陸線・阿仁合〜角館)

 

 

 


車内全景です。天井周りにはあまり手を加えず、窓から下の様相がセミクロスシートから一変しています。
2ドアで畳に腰掛けてテーブルの下に足を入れるスタイルです。「華」や「ゆう」などのJRのお座敷列車のように畳で全面覆われているわけではありません。故に靴のままセンターの通路を歩いて他の車両に移動することも可能です。この雰囲気、畳を板張りに変えると天井がしっかりついたトロッコ列車を思い浮かべてしまいます。

ちなみに公式サイトの貸切列車のごあんないのページを見ると、畳や机の配置を変えることも可能?!とのこと。どのようにトランスフォームするのか、見てみたいものです。

 
デッキ周りは格子で仕切りが作られています。角館方のデッキにはトイレが備わっていますが、座席の跡を隠すように一方だけ木目のシートを貼っています。窓周りが白い化粧板なのでここも腰壁をかたどって窓の下辺から上は白い化粧板を貼ると違和感がなくなったと思います。
右の画像が鷹巣方デッキで、こちらには薄型の液晶テレビが備わっています。カラオケ設備もあるとのことですが、定期列車充当の際には沿線の自然を撮影したDVDなんか流してみるのはいかがでしょうか?格子の先には運賃表示機がありますが、乗務員室とともにあまり視界には入りません。


トイレの入り口は通常の車両と同じで、一工夫欲しいところになります。ゴミ箱の大きさも他の車両と変わりはありません。
なお、この日隣に連結されていた「展望車」ことAN2000形にはデッキ周りに冷蔵ショーケースがありますが、こちらの車両には設置されていないので夏にアルコールを堪能する目的で貸切る時には注意です。


天井周りです。止め具を茶色にしたり、蛍光灯のカバーに模様をつけたりしていますが、ベースは通常仕様の車両と変わりありません。一般型のディーゼルカーは冷房の配管や天井の高さが低いこともあり、なかなか加工できない部分になってしまいそうです。それでも中吊り広告の金具は外してほしかったし、つけたままだったら暖簾を下げるとか、遊び心を付け足して欲しかったなぁ。


床です。畳敷き以外の部分はリノリウム。通路としては歩きやすいし、飲み物を床にこぼしても浸みないので掃除しやすいメリットがあります。ただ、畳敷きの下にこぼした飲み物が入ってしまうとなかなか大変そうですが…。

 
ドア周りです。このあたりも通常の車両と同じ仕様です。同じ仕様なのでステップつきでいつもの通り乗り降りすればOK。意外と足元がふらついた時に安心できそうです。整理券発行機が画像に写り込んでいますが、運賃箱が撤去されているのでワンマン運転はできません。それこそ整理券発行機で整理券を引くと「今日の運勢」がわかるとか…あ、そういう仕掛けは要りませんねそうですね(^^;
デッキには靴箱が設置されています。今回の取材のような車内では使用方法が全く思い浮かびませんが、トランスフォームで全室畳張りになった際には効果を発揮することでしょう。

半自動ドアのスイッチはこれまでと変わらず。靴箱の設置の関係で場所が移ったものがあります。

 
座席…というよりも畳はこのような感じ。4人が座れる畳ブロックと2人が座れる畳ブロックを設けています。角館方向に向かって進行方向右側が2人が座れるブロックです。テーブルの下に足を入れるスペースを設けているので、靴を履いたまま向きをクルッと変えて座る格好です。ただ、この座り方はテーブルの脚が邪魔で立ったり座ったりする度に窮屈ささえ感じてしまいます。
また、折角のお座敷列車なのに靴を脱げないのが残念です。

 
4人ブロック、2人ブロックの違いは横幅だけで、作りは同じです。私が見た限り畳の下には特に何もなかったのですが、車内に入った時に暖かかったので他のブロックの下に暖房があるかもしれません。
窓のサッシ下にはシールで座席番号を振られています。この座席配置に対応したものです。


山田君が座布団を高らかに積み上げています(殴 この枚数だったら豪華賞品で比内地鶏でも食べられそうですね☆
また、この部分だけ窓配置が異なっております。丸みを帯びた窓枠はこの車内では良いアクセントになります。

さて、この車両の弱点は「背もたれが無い」という点です。
座布団のみなので長距離の移動では背中がだんだん痛くなってしまい、窓側によっかかったり畳に寝転がる人がいらっしゃいました。ご自宅の和室ならまだしも、移動する空間では疲労の進行も早いもの。新しい設備を整えるのはお金がかかりますし、スペースの制約があるので一部の席に限られてしまうことは明らかですが、4人ブロックの席を中心に座椅子を設置してみるのはいかがですか?


側窓です。雪の中を走るので仕方が無いことですが、
この時はだんだん曇ってきてしまい、景色が見難くなっていきました…。
最初の改造から10年、もう一工夫でさらに快適な車内になっていくといいなぁ。とともに、
ぜひ冬以外の時期も定期的に急行で走って欲しいものです。
 
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