赤沢森林鉄道  ひのき号・さわら号・あすなろ号
 
  木曽森林鉄道が国内最後の森林鉄道として営業を終えてから10年。赤沢自然休養林の中で一部区間の復活を遂げたのが赤沢森林鉄道です。その客車として、昭和62年に登場したひのき号、平成元年生まれのさわら号、そしてちょっと塗装が違う平成8年生まれのあすなろ号の3両を取り上げます。見た目も大きな違いはないので、まとめて「赤沢森林鉄道の客車群」として紹介します。
多客期は5両編成での運転もあるようですが、取材日は平日だったこともあり3両での運転でした。現在は北陸重機工業製のディーゼル機関車が引っ張ります。トロッコを模した窓のない車両からは森林浴が堪能できますが、雨が降ると窓の上のビニールを覆うことに…これはこれで1回は経験してみたいです。
併設の資料館木曽森林鉄道の長尺映像も必見です。
(取材・撮影 赤沢森林鉄道)

 

 

 


車内全景です。画像は「ひのき」号で、今回取材した3両は大体構成が同じなので、まとめて取り上げます。
前後にデッキがあり、そこから乗り込む格好です。走行中は鎖で閉鎖しますが、各車両乗務員さんが乗るので走行中デッキに出ることはできません。
天井にはスピーカーがありますが、あとは専ら白で覆われています。オープンな側壁の下半分は木を内張りに用いています。ワイルドな印象が字面から感じられそうな森林鉄道ですが、車内はきれいに整備されています。


赤沢森林鉄道では若手の「あすなろ」号の車内です。天井が艶やかになって木目もまだまだ若い感じがしますが、主な構成は他の2両と一緒です。ただ、外観を見ると車椅子スペースが…これはまた後ほどです。
座席配置だけ見れば特急しなののグリーン車も真っ青の2+1列ですが、軌間はナローゲージの幅で、乗務員の方に「ナローが好きで来たの?」と声を掛けられるくらいこの森林鉄道の特徴でもあります。


「さわら」号の車端部です。同じような画像が続いてしまってすみません。仕切りの上にはスピーカーがついていたりいなかったり…禁煙のプレートもありますが、余計な装飾は一切ありません。この無骨さが大変魅力的です。
この車端部から乗ると結構小刻みに揺れるのが気になります。ただ、動き出すと思いのほか安定感バツグンの乗り心地で森林をゆっくり進みます。取材時は私しか乗っていなかったので、4人の乗務員さんと極上の時間を過ごすことができました。

 
「あすなろ」号の車端部です。ホームは2駅とも同じ方向にありますが、右のフレームが若干太い様子が伺えます。
ここが車椅子の方の乗降口になり、右の画像のように真横から見ると確かに扉のように見えます。外の板はスロープを兼ねており、画像に写っている内側の扉を左右それぞれ開けると車椅子が通れる通路が確保できます。そして座席は…なんということでしょう、引っこ抜くことができます(^^;; 2人掛けの座席を全て引っこ抜くと4席分の車椅子スペースができるそうです…。嗚呼素晴らしきかな力業…


天井です。ツルンとした天井には照明も扇風機もありません。全国にトロッコ車両は数多くあり、そのほとんどは昼間に走っているものの、ここまで割り切った天井はそうそう無いと思います。


床です。灰色一色の実用的な床…よりも、もはやキャラメルに見えてきてしまう座席の方が目立って仕方がありません。


ちょっと外に出てデッキ周りです。緑の床の部分から乗る格好で、普段は体験できない乗り方だけになかなか興奮するのではないでしょうか。屋根は庇くらいしかないので、雨の日の傘対応が気になるところです。また、緑の床の部分と客室部分は段差ができているので、思わぬケガには注意が必要です。消火器はホームと反対側にありますが、こちらは乗り降りに支障が無い側になります。


座席です。この座席を画像で初めて見た時にはもうシンプルすぎてビックリしました。この転換クロスシートは見た目が美しくて惚れてしまいそうです。向きを一方に揃えて運転していますが、向かい合わせにすると足元が狭くなってしまい、あまりお勧めできません。また、赤いガムテープで細かい補修が行われており、特にこの1人掛けは補修していない座席を探すのが難しいほどでした。

 
2人掛けもこの美しさです。ビニール張りの背もたれの丸みが大変可愛く、真っ平でクッション性を感じない座面も良い味出しています。惜しむべきは背もたれに手すりが無い点ですが、そもそも立席利用を想定していないので必要がないと判断したのでしょう。右の画像は車椅子スペース用に外せる座席ですが、少し座面に厚みがあるものの、座り心地の差は極端な違いはありませんでした。座席フレームは左の画像の「さわら号」だけ座面下の脚台が他の2両と異なり、いわゆる「Y」の字がしっかりできています。素晴らしい。


そして愉快な森林鉄道。この自然が目の前に迫る迫力。最前席からの眺めは特に格別です。
ナローな森の世界へ、行ってらっしゃい!
 
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