愛知環状鉄道  2000形[ロングシート車]
 
  新型車両の投入時、他の会社の車両をベースに…というケースをしばしば見かけます。愛知環状鉄道2000形もJR東海313系をベースにセミクロスシートで登場しました。更に2009年には今回取り上げるロングシート仕様車が2編成登場しましたが、外観は青帯を巻いたセミクロスシート車と変わりません…(^^;; 新豊田から三河豊田までの「シャトル便」への充当が多いそうですが時に全線通しの運用に就くことも多々あり、今回もボーっと北野桝塚で待っていたら涼しい顔してロングシート車が出庫してきました…。
2000形はその後の増備が無いですが、いつかフルカラーの格好良いLEDになるのかなぁとか、美白になるのかなぁ…などと色々思うところですが、側面の片隅に書かれた愛だけは、どうか末永く…
(取材・撮影 愛知環状鉄道線・北野桝塚〜岡崎)

 

 

 


車内全景です。3ドアロングシートの車内は幅広車体が功を奏してかなり広く見えます。一方、313系では見慣れない設備もチラリ…。JR東海っぽさ、前回は座席モケットの色を緑にして打ち消していましたが、このロングシート車の青もやはりJR東海の313系モケットとは一線を画す青色で、こちらの方が濃い印象。ただ、緑モケットの時に優先席の色が青かった時の事を思い浮かべると…なぜ青にした?!…と早くも言ったもん勝ちの様相です。

 
乗務員室との仕切りです。左の画像は岡崎方、右の画像は高蔵寺方で、ドアの手前は優先席になります。ツーマン運転が原則の愛知環状鉄道、仕切りの4枚窓はJR東海の313系と仕様を合わせていますが、静岡地区の313系ロングシート車は運転席後ろの窓が1枚…愛知環状鉄道の従来車に合わせたのでしょう。そうそう、窓の下の点検蓋の位置や枚数は0番台、300番台あたりと同じです。
セミクロスシート車では仕切り扉の色を変えてアクセントにしていましたが、ロングシート車仕様では周りの仕切りに色を合わせています。

 
車端部です。左の画像は岡崎方車両の車端部で、優先席を配置しています。右の画像は高蔵寺方車両の車端部で、トイレや車椅子スペースを設けています。早くも座席が気になるところですが…(^^;;
セミクロスシート車ではやはり色分けされていた貫通扉や鴨居部分は周りの化粧板に合わせた色に落ち着いています。シンプルに決めた格好ですが、大きな貫通扉の窓の真ん中にはドアステッカー(!)が貼られています。
トイレや車椅子スペースのレイアウトは従来車に合わせた格好で、側窓が開閉可能になっている点も同じです。取材は2015年ですが、まさか開口部分が脚光を浴びる日が来るとは、その時は全く思いませんでした…。

 
洋式トイレと車椅子スペースです。ボタンで開くトイレのドアは開口部分を大きくしています。
車椅子スペースは手すりに非常通報機を設置していますが、愛知環状鉄道の車両の多くはこのポジションに1人掛け座席を設置することや、JR東海ではこの位置に非常通報機がつくと区画全部を車椅子スペースにすることから、何気にレアなスペースと化しています。だから…と言えばそれまでですが(^^;; 座席の孤独感が半端ないです。


天井周りです。ラインフローファンの装飾こそ313系そのものですが、蛍光灯は剥き出しのもので、カバーはありません。そして車内の端から端まで設置された吊革ですが、なぜか線路と垂直方向の設置がありません。JR東海313系にも無いので、そこまでは…ということになったのかもしれません。
その吊革は手掛けが三角形のもので、あまり吊革がブラブラしないように吊革の上部にU字を逆にした金具を取り付けています。これはこの車両ならではです。


床です。ここもオリジナリティを発揮している場所の一つでしょう。JR東海というよりも京王線で見かけそうなグレーのツートンの床です。ドア周りは黄色い滑り止めを貼っていますが、心なしか黄色が少し薄目になっています。

 
ドア周りです。LED表示機は千鳥配置、もう一方には路線図と「締切中」の案内が登場する表示機のデュオです。
313系同様隅まで大きな窓が広がる大変気持ちの良いドアで、ドアステッカーも遠慮しがちな大きさに留まっています。そのドアステッカーは貫通扉と同じものを貼っています。
非常用ドアコックは313系と同じ位置にスタンバイ。こちらもわかりやすい位置です。


鴨居部を上下で並べました。LED表示機は自在に文字が表示できるスペースの他にドアが開く方向を教えてくれる機能が備わっています。文字が縦半分くらいに縮んでいますが、これはむしろJR東海の313系でも搭載した方が良いのでは…?LEDの文字のご案内と内容が被るのはご愛敬。
もう片側は取材中の表示は見られませんでしたが、近づいて見るとうっすら「締切中」の文字。キハ25形とも異なる大きさの「締切中」、どこまで目立つかが鍵です。


半自動ドアです。このあたりは高蔵寺、岡崎で乗り換える313系と仕様を合わせています。左から車内側のランプ点灯中、ランプ非点灯、そして車外です。車外は文字で「ドア」と表示されています。恐らく汎用品のチョイスでしょう。一方、車内のランプに文字が書かれていないのに違和感…を覚えるのは私くらい半自動ドアを撮り続けているからかもしれませんが、シンプルな表示が却ってわかりやすくなっていると思います。


側窓です。ドア〜ドア間は狭い・広い・広い・狭い4枚の固定窓です。戸袋窓のように見えるデザインですが、戸袋部分に窓はありません。そして下ろしやすいロールカーテンは高架区間をひた走る愛知環状鉄道では嬉しいアイテムです。

 
ドア〜ドア間のロングシートは10人掛けです。右の画像、高蔵寺方ロングシートは3席分優先席に指定されています。このロングシート車は登場時から優先席と通常の座席のモケットが画像のとおりの柄で、たまに検索すると出てくる「青いモケットの優先席」はこの編成ではありません。
片持ち式の座席で、3人・2人・2人・3人で座面や背もたれを分けている様子は313系と同一です。一方で座面の手前に通したスタンションポールや大型の袖仕切りは愛知環状鉄道オリジナルで、心なしかこちらの方が座席の空間を広く使えそうな気がします。
硬めながらしっかり受け止めてくれる座面とあまり滑らないモケットで、なかなかの出物だと思います。
だからと言って、この座席で浜松〜熱海乗り通しは勘弁ですが…(^^;;


岡崎方車両の車端部は4人掛けのロングシート、優先席です。ささやかながら妻面には肘を逃がせられるスペースを設けています。袖仕切りの形状とは全くリンクしていませんが(^^;; もう少し幅を広めに確保してあげても良かったのでは…と思うところですが、無いよりは良いかと思います。
ここも2人分ずつ座面や背もたれを分けていますが、間にスタンションポールは入りません。


袖仕切りです。度々大手私鉄で見かける大型の袖仕切りを採用しました。プラスチッキーな装いは触ると冷たいものの、ラッシュ時は立客が多い愛知環状鉄道ではセミクロスシート車に続いての採用で、自社線に合った装備を選ぶセンスが抜群だと思います。これこそ、愛だろ、愛…。

ただ、背もたれと袖仕切りのカーブが若干合っていないようにも見えますが…。


車椅子スペースの2人掛けクロスシートです。元々この反対側に1人掛けのクロスシートがありましたが、このロングシート車の前に2編成作られたセミクロスシート車から1人掛けのクロスシートがなくなり、この足元が広すぎて全く落ち着かないクロスシートに変更となりました。トイレの位置もあり、この滅多に撮らない角度から失礼します。
切り立っているとはいえ115系あたりを彷彿とさせる腰回りの角度をしっかり確保したクロスシート、座り心地はまずまずですが、足の置き位置に困ってしまいそうです。

小さいところですが、肘掛けの内側の処理が窓側と通路側で異なるのがよく観察できます。通路側にはモケットを貼っています。
小さな違い、大きな未来…。
 
ひとつ前に戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送