東京メトロ  丸ノ内線02系[分岐線用車]
 
  丸ノ内線といえばお茶の水や後楽園などの都心の趣が思い浮かびますが、中野坂上から方南町まで枝のように分かれた分岐線の存在も気になるところです。地下鉄では珍しい枝線の輸送を担うのが02系の3両編成、すなわちこの分岐線のために作られた車両になります。
3両編成の所以は方南町駅のホームの有効長。本線と同じ6両編成が入線できないため、旧型車両と同じ長さの編成が投入することになりました。そのため、新宿や池袋など本線に乗り入れることはなく、旧営団が昭和60年代から作っているアルミカー群、いわば「0*系」シリーズの中ではかなり地味な分類になりそうな予感がしますが、営団地下鉄の車両冷房化100%を達成した記念すべき車両でもあり、もっとその存在がクローズアップされないかなぁと思う今日この頃です。
(取材・撮影 東京メトロ丸ノ内線・方南町)

 

 

 


車内全景です。3ドア18m車体でオールロングシートという構成は本線で活躍している車両と同じスペックです。
残念ながら本線の車内全景が撮影できていないため確実な比較ができないのですが、当時の営団における車内デザインの高い完成度からは想像できないくらい質素な佇まいになっています。たった数駅のために新車を作ったんだから少し質素にしても良いではないか!という企業としてのホンネも垣間見えそうですが、貧乏な自分としては、同じ運賃払って、しかも新宿や荻窪に行くのに途中で乗り換えさせられて、それでいて車内設備まで・・・とネガティブな言葉ばかりが浮かんできてしまいます。尤も質素にしている部分はとにかく細かい部分であり、殆どの乗客における「乗る座る降りる」という一連の流れの中では影響無いかもしれません(^^;;;


乗務員室との仕切りです。トンネルの断面が小さいため、冷房装置の部分は天井が一段低めにセットされています。これは02系全体で同じ仕様になっており、仕切りに3つ並んだ広告も全く同じです。ちょっと圧迫感が嫌だなぁ・・・という方は3つあるドアのうち真ん中のドアから乗り降りするといいかもしれません。
なお、分岐線用車では乗務員室扉の着色が省略されており、前面展望スポットが事実上拡大しています。これは素直に嬉しいかも・・・?!


車端部、まずは優先席からです。各車両1箇所設けられており、中間車は方南町寄りに設置されています。妻窓は片側のみの設置で、もう片側は配電盤と思しきスペースや消化器が収まっていたり、単純に窓が無いだけ・・・というパターンがあります。妻窓や側窓は高さがあって見通しが良いです。全区間地下を走るわけですが・・・(^^;;;
 
逆に編成中1箇所しかない通常モケットと車椅子スペースの車端部です。中間車の中野坂上寄りが該当します。車椅子スペースも一緒にご覧頂きますが、こちらは他のメトロ車の車椅子スペースと同じ設備を有しています。座席2人分を車椅子スペースに充てているわけですが、そこの部分の吊革も座席上と同じ高さになっており、乗り降りに多少邪魔になってしまうかもしれません。
車端部をこのポジションから眺めると広告のおかげもあって天井の低さを感じさせませんが、乗務員室の仕切り同様冷房機器の関係で一部天井が低くなっています。


その凸凹具合をということで、天井です。高い部分は中央部にラインデリアを配置し、フラットな天井に仕上げています。このあたりは本線車両と同じ雰囲気に仕上がっていそう・・・だと思っていたのですが、どうやらコストダウンを図ってファンの数や蛍光灯の本数の見直しを行っているとか。そこまで見抜けない自分が情けない(^^;;;
吊革はドア付近にもたっぷり設置、意外と両先頭車が混むことが多い分岐線の需要をしっかり支えています。


床です。本線車両にはあったフットラインがこちらにはありません。しかし、ブラウンの柄と座席モケットとの組み合わせは全然悪くないように感じます。何かを省いたとしてもデザインの破綻を感じさせない、溜息を出させないデザイン性は営団のクオリティの高さを感じさせます。ちょっと褒めすぎかな?

 
側ドアです。今は全てのドアの上にLED表示器が設けられていますが、登場時はこれも省略されていました。丸ノ内線の02系というとマップ式の案内表示板が有名ですが、なぜか駅数が短い分マップ式が作りやすそうな分岐線専用車の方にLED表示器が導入されています(^^;;
ドアそのものは化粧板も貼り、窓も大きくとるなど抜かりはありません。


座席です。まずはドア〜ドア間の8人掛けから。分岐線専用のモケットが採用されたバケット形状の座席で、なぜ本線と共通のモケットにしなかったかが気になる今日この頃です(^^;;
網棚から袖仕切りにかけての構成も本線系統の02系と全く異なる物になっており、営団が得意としていた化粧板やモケットを駆使して網棚と袖仕切りを一体的に魅せる手法から一転、パイプを組み合わせた物になっています。「あ、ここいつものと違う」と乗客にわかりやすいコストダウン手法を採用したわけですが・・・これ、少々露骨すぎませんか?

 
中間車にある通常モケットの5人掛けと3人掛けです。3人掛けは側窓との干渉を防ぐために袖仕切りのバーが一つに減らされています。うーん・・・尚更質素に見えてしまいます(^^;;が、座席周りの余裕さは3人掛けの方が上だと思います。
座り心地は本線の物よりも若干バケットが効いた物になります。やや背もたれが薄くて立ち気味なのが気になりますが、乗車時間を考慮するとこれくらいの角度で落ち着いてもいいのかもしれません。


優先席は青いモケットで。さしづめ理髪店コンビです。ちょっと上品な暗さを持った赤と鮮やかな青との組み合わせは見ていてなかなか爽快です。こちらにも赤と同じパターンで模様が入ります。

コストダウンによって見栄えが一時代前に戻ってしまった面は否めませんが、常に新しい物を求め続ける姿勢が垣間見える営団・東京メトロの車両作りにとって、「少し前の技を・・・」とコストダウンの名の下に振り返り、ふんだんに盛り込むことは良いことなのかなぁと思う今日この頃です。勿論、自分はその後に作られた車両をまんべんなく眺めているからそういうKYな事を言っているわけで(笑)完全な後出しジャンケンでもありますが・・・またそんな車両が登場することを願っています。
 
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